将来の夢と野球の両立 〜準硬式野球部に所属する女子大学生の1週間〜
今年初めに「女子準硬式野球準備委員会」を立ち上げ、「女子選手の積極的な受け入れ」を表明した関東地区大学準硬式野球連盟。8月10日には関東連盟の大学から女子選手が集まり、『関東準硬式レディース』として女子硬式野球の大会『栃木さくらカップ』に参加しています。
「女子選手の積極的な受け入れ」を表明し、連合チームとして大会にも参加するなど、大学準硬式野球には女子選手が活躍できる環境はあるものの、進路を考える高校生にとって準硬式野球部に所属した場合どの様な大学生活を送ることになるのかイメージはつきにくいものです。
そこで今回は現在準硬式野球部で活動する2名の女子選手にご協力いただき、1週間の生活スケジュールや実際の大学生活について紹介していきます。
Contents
福祉施設でアルバイトをしながら特別支援学校教諭を目指す 日本社会事業大学4年國行美羽選手の生活
── 大学準硬式のよいところを教えてください。
國行選手:準硬は学生主体の活動で、学生・選手自身が練習や大会の日程を決めるので、アルバイトや勉強の予定を立てやすいところがよいところだと思います。私のチームは女子選手や、障害がある選手が在籍しています。生活の中でダイバーシティについて考えるきっかけになりました。
── 休日の過ごし方を教えてください。
國行選手:現在は4年生なので、就職試験の勉強、卒論の作成、国家試験の勉強をして過ごしています。同じ大学の寮に住んでいる友達と一緒にご飯を食べたり、趣味の韓国ドラマ鑑賞をしたりしています。コロナが流行する前は、プロ野球を観戦しに行ったり、洋服を買いに出かけたりして過ごしていました。
── 大学での活動と、高校時代との違いを教えてください。
國行選手:私は大学に進学して親元を離れました。学業と部活動の両立をする中で、さらにアルバイトをして、自炊や洗濯などの家事を自分で行うところは高校時代と違います。日々やることが多いですが、その分達成感を味わったり、自分から様々なことに挑戦できたりして楽しいです。
部活動の面では、高校時代は女子ソフトボール部に所属していて、大学からは準硬を始め、男子の中でプレーしているので、環境に大きな変化がありました。新しいことに挑戦し、技術的にも精神的にも鍛えられました。
── 今の生活で大変だと思うことはどのようなことですか?
國行選手:大学4年生の今は卒論の作成や、様々な試験勉強が忙しく大変だと感じます。大学の準硬で出会えた仲間と励まし合いながらそれぞれの夢の実現に向けて頑張っています。
看護師を目指し、実習や講義の間に準硬式野球部で活動 防衛医科大学校3年伊藤優里選手の生活
── 大学準硬式のよいところを教えてください。
伊藤選手:男子の中に混ざって練習ができるので体力はついたと思います。他の大学の学生さんも同じだと思いますが、忙しい中で部活をやっているので時間の使い方や息抜きの仕方が上手になりました。
── 休日の過ごし方を教えてください。
伊藤選手:今は実習で部活にあまり行けていないのですが、実習がない時は土曜日の午前練習の後にお買い物をしたり、先輩にご飯に連れていってもらったりしていました。日曜日は友達とショッピングをしたり、ちょっとおいしいご飯を食べにいったりしていました。今は実習中で忙しいので、実習の記録を書いたり勉強をしたりしています。1日中勉強だけをしているわけではないので、気分転換に買い物に出かけたり、友達とご飯を食べにいったりもしてます。
── 大学での活動と、高校時代との違いを教えてください。
伊藤選手:高校の時はソフトボールをやっていて、周りも女の子で体力的にも筋力的にも差がありませんでした。大学では男子と一緒にプレーしているので、体力・筋力の部分で差があって打球の速さ・飛距離も違います。仕方のないことですが悔しい気持ちも少しあります。守っていて怖いと思う瞬間も正直あります。それでも、実習や勉強の間の時間を使って、すごく楽しく野球をやらせてもらっていて、息抜きにもなっていると思います。
── 今の生活で大変だと思うことはどのようなことですか?
伊藤選手:実習がある今は、とにかく実習が大変です。なかなか部活にも顔を出すことができていないので、部活に復帰することがとても楽しみです。ブランクがあるので、少し怖い気持ちもありますが…。部活にあまり行けてない期間でもたまに顔を出すと、同期が「来てくれてありがとう」「実習頑張ってね」と言ってくれたり、後輩も話しかけてくれたりすることがすごく嬉しいし頑張る活力になっています。
将来の目標に向けて大学での勉強と野球部との活動を両立した大学生活を続ける両選手。彼女たちの活動や活躍が進路選択に悩む高校生に伝わり、文武両道を掲げる準硬式野球が女子選手の進路選択の新たな選択肢となっていくことに期待です。