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『地域に住み、地域で働き、地域から女子野球の日本一を目指す』東近江バイオレッツ

先日、東京都府中市が認定され、11都市に拡大した女子野球タウン。

今回紹介する東近江バイオレッツは女子野球タウン・東近江市で活動する地域密着型クラブチームです。

創部5年目を迎えたバイオレッツには今季も多くの選手が入団し、選手数は過去最高の24名となり、今季からは元女子プロ野球選手の中村茜監督を迎えています。昨年の全日本選手権では3位、西日本大会では優勝と着実にステップアップしているバイオレッツ。今シーズンは全国大会でも昨年以上の好成績が期待されます。

今回の記事では、そんな東近江バイオレッツの4選手にご協力いただき、多くの選手が集まるバイオレッツの“選手目線での魅力”という部分をメインテーマとしてお話いただきました

〜ご協力いただいた選手〜
・横山 彩実(よこやま あみ)
内野手
22歳(5年目)
出身:福岡県柳川市
経歴:京都両洋高校
勤務先:小川良株式会社

・吉田 美星(よしだ みほ)
内野手
22歳(1年目)
東京都杉並区
経歴:横浜隼人高校ー日本体育大学
勤務先:メニックス株式会社

・田村 智美(たむら ともみ)
捕手
22歳(1年目)
出身:大阪府大阪市
経歴:京都両洋高校ー桃山学院教育大学
勤務先:リバーサイドジャンボゴルフ

・黒田 陽菜(くろだ はるな)
内野手
18歳(1年目)
出身:愛媛県今治市
経歴:福知山成美高校
勤務先:東近江市学童保育ネットワーク

女子野球タウン・東近江で野球に打ち込める環境

── 今日はよろしくお願いします。それではまず、皆さんがバイオレッツ入団に至った経緯を教えてください。

横山選手:高校時代にお世話になった上田監督の元で野球がしたいと思ったのが一番の理由です。ちょうど私が高校を卒業するタイミングで、上田監督がこのチームを立ち上げるということで入団を決めました。

田村選手:私も基本的には横山と同じ理由です。ただ将来的に指導者になりたいという思いがあったので、高校を卒業してすぐ入団するのではなく、大学で教員免許をとってからバイオレッツに入団しました。

吉田選手:私は高校で硬式、大学で軟式を経験し、大学の野球を引退したタイミングでもう一度硬式をやりたいという思いがありました。そこでバイオレッツの体験に行った際に、雰囲気も良く「このチームで野球をやりたい」と思えたので入団を決めました。

黒田選手:福知山成美高校時代にバイオレッツと対戦する機会が何度かあって、その時に「すごく良いチームだな」「このチームで野球がやりたいな」と思ったので、入団しました。

── 実際に入ってみての感想をお願いします。

吉田選手:野球に集中できてるので、そこが一番良いところだと感じています。練習量も少なすぎず多すぎず、ちょうど良いと感じています。

横山選手:私は1期生なので、自分たちがチームを作り上げていくという状況でした。地域の方々にチームのことを知ってもらうために、PR活動やイベントに参加し、前に立って喋る機会が多かったので大変でした。その甲斐もあって、今は滋賀県内でバイオレッツのことを知ってもらえているので、よかったなと思っています。

── 東近江バイオレッツの一番の売りはどの様なことだと思いますか?

横山選手:バイオレッツは全員が東近江市内に住んで、野球をして、仕事をしているので、地域の方々から応援されるチームというところが一番だと思います。

吉田選手:仕事と野球のバランスはすごく良いと思います。練習環境が整っていて、地域からも支援していただいているので野球に打ち込めます。給料も最初に聞いた時は少ないかなと感じたのですが、私たちは野球をやるためにきているので遊ぶ時間などはないので、いざ生活してみると足りないということはないです。

黒田選手:午前中に全体練習があり、午後から別れて仕事なのですが、その後に自主練習もできるので、とにかく野球をたくさんできることが一番だと感じています。

「野球に集中できる環境」だと選手たちが口を揃えて言う東近江バイオレッツ。しかし、“社会人野球”である以上、もちろん仕事をしないわけにはいきません。次項では、選手のみなさんの仕事内容や実際の生活のイメージをお話いただきます

選手全員が東近江市内で勤務するバイオレッツの選手たちの生活は?

── 皆さんの仕事内容を教えてください。

横山選手小川良株式会社の工場で働いています。アパレル系の工場なので、服をプリントしたり、不織布のマスクを作ったりが主な業務です。火曜日が8:00-17:00、その他平日が13:00-20:00で働いています。

田村選手リバーサイドジャンボゴルフというゴルフの練習場で受付の仕事をしています。月水金が13:00-19:00、火曜が12:00-19:00、木曜が14:00-23:00というシフトで働いています。

吉田選手メニックス株式会社の工場でチューブ加工をしています。図面に合わせてチューブを曲げたりする加工作業をやっています。時間は平日の13:00-19:00です。

黒田選手:私は小学生の放課後の学童保育をしています。私も時間は平日の13:00-19:00です。

── なるほど、皆さんそれぞれ違うお仕事をされているのですね。住んでいるところもバラバラなのですか?

横山選手:チーム内でシェアハウスをしていたり、一人暮らしをしていたりとバラバラです。私は去年まではシェアハウスに住んでいたのですが、高校生も増えて、年上の立場になったので、自立して生活したいと思って一人暮らしをしています。

── シェアハウスの場合、家賃はいくらなんですか?

横山選手:吉田と黒田が同じ家でシェアハウスをしているのですが、家賃と光熱費込みで2,5000円です。

── 実際の生活イメージを教えてください。

吉田選手:火曜を除く平日の午前中に2時間半の全体練習を行い、土日は大会か練習試合を行います。練習試合は週1ペースであるので実践経験もたくさん積むことができます。昨年は年間51試合を行ったとのことでした。

横山選手:大体7:30に起きて、8:00くらいに家をでて、8:30ごろから練習です。11時過ぎに練習が終わるので、家に帰って昼ごはんを食べたり準備をして、13時から出勤です。仕事が終われば自由な時間です。

── 結構タイトなスケジュールですね。住んでいる場所は練習場・職場とは近いのですか?

黒田選手:私は大体30分くらいです。

横山選手:近い人は5分-10分ですが、東近江は広いので遠い人だと30分くらいかかってしまいます。

── 東近江市は実際に住んでみていかがですか?

田村選手:とても素敵です(笑)

── というと?

田村選手:地域の方々がとても温かいです。私の仕事が接客なのですが、「バイオレッツの子なんや〜」「試合勝っておめでとう」など声をかけてくれるので。

── 市内ではバイオレッツの認知度は高いのですか?

横山選手:そうですね。私は1年目から知っていますが、職場でも声を掛けていただいたり、街中でもバイオレッツのジャージを着ているとよく声を掛けられるようになったので、知名度は上がったなと思います。

競争が激化したチームで悲願の日本一を!!

── 今年のチームとしての目標を教えてください。

横山選手:今年はチーム内の争いも今までにないくらい激しくなって、チームの雰囲気としても良い感じでここまできています。昨年の西日本大会では優勝しましたが、私たちの目標は日本一なので、そこを目指して頑張っていきたいと思います。

── 日本一という目標は選手の皆さんの共通認識なんですね。それでは、今シーズンの個人目標をそれぞれ教えてください。

横山選手:日本一に貢献できるようなプレーをすることはもちろん、5年目で年も上の方なので、選手をプレーで引っ張っていく選手になりたいです!

田村選手:日本一に貢献できるようなプレーをすること、そして周りの人から応援される選手になりたいです。そのためにも、私生活の部分からしっかりとやっていきたいと思います!

吉田選手:私も二人と同じく、日本一に貢献できる選手になることが第一です。バイオレッツは地域の方を始め、多くの方々がチームに関わってくれているので、その人たちに恩返しできるような結果を残していきたいです!

黒田選手:まずは怪我なくシーズンを終えることです。あとはチームの勝利に貢献できる選手になりたいです!

── 最後に、皆さんの夢を教えてください。

横山選手:一昨年のマドンナジャパン代表入りすることができたのですが、何も活動ができませんでした。再びメンバー入りして、世界の高いレベルでプレーしたいなと思います。

田村選手:大学で保健体育の教員免許を取ったので、将来は母校の京都両洋で監督をすることが夢です。

吉田選手:このチームで「もう野球はいいや」と思うまで思う存分野球をやって、そのあとはキッチンカーをやりたいです(笑)。今の野球もそうですが、やりたいことを思うがままにやる人生を送りたいと思っています。

黒田選手:女子の野球人口は増えてきているのですが、もっともっと増えるように、夢を与えられるような選手になりたいです!!

地域からの支援や環境が整っているとはいえ、野球と仕事を両立することは簡単なことではないと想像がつきます。しかしバイオレッツの選手たちからは「もっと野球が上手くなりたい!」「日本一に貢献できる選手になりたい!」という思いがひしひしと伝わってきました。

創部5年目、悲願の日本一に向けて、8月の全日本クラブ選手権、10月の全日本選手権と主要2大会に臨んでいきます。

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