1. HOME
  2. ブログ
  3. 関東地区大学準硬式野球連盟が女子選手の積極的な受け入れを表明

関東地区大学準硬式野球連盟が女子選手の積極的な受け入れを表明

先日、高校女子硬式野球の選抜大会の決勝戦が東京ドームで開催され注目を集めました。一方で大学の女子硬式野球部は全国でも数少なく、大学で野球をやりたいと考える女子選手が自由に野球部に所属できる環境があるとは言い難い状況です。

caption:昨年の大学選手権に出場した8大学

このような状況の中、関東地区大学準硬式野球連盟が女子選手の積極的な受け入れを表明しました

準硬式野球は表面が軟式(ゴム)、中身が硬式(樹脂と糸)という軟式と硬式の中間にあたるH号球というボールを使います。少年野球や草野球で使用する軟式、高校野球やプロ野球で使用する硬式と比較すると一般的には馴染みがない準硬式ですが、現在は主に大学野球で盛んに行われており、全国で270チーム、1万人以上の部員登録を持ちます。

準硬式球

これまでも大学の準硬式野球部でプレーする女子選手はいましたが、連盟としてこの様な発信を行うことにより、現役を続けたいと考える女子選手たちの選択肢が大きく拡がることが期待されます

「女子選手が準硬式野球でプレーできる環境を」 女子準硬式野球準備委員が今年2月に発足

日本社会事業大学・國行美羽選手

関東地区女子硬式野球連盟の女子選手の受け入れ表明。先日行われた関東大会では、準硬式で現役女子選手として活躍する國行美羽(日本社会事業大4年)選手が始球式を行っています。「女子選手が始球式」という事例は野球界では過去にもあることですが、この始球式は國行さんと“女子準硬式野球準備委員会”の堺澤聡子(東洋大4年)さんが「後輩の女子選手たちのために」という思いを込めて一から企画した特別なものでした。

きっかけは1月末に行われた各大学の主務を対象とした会議でした。会議内で、準硬式野球では多様性が必要という観点から「女子選手の拡大」が話題となり、行動を起こしたのは選手兼主務として参加していた國行選手。

國行選手が所属する日本社会事業大は女子学生の比率が多いため、準硬式野球部にも女子選手が入部を希望することも多いものの、なかなか最後まで続けられないことも多いそうです。自身が“女子選手”として4年間活動してきた國行選手は、後輩の女子選手たちにもっと準硬式をやってもらいたいという思いがあり、行動を起こしました

その後2月に「女子準硬式野球準備委員会」が発足。その中心として学生副委員長の堺澤さん加わりました。「女子選手に準硬式をやってもらいたい」という堺澤さんと國行選手の思いは一致し、およそ2ヶ月間のミーティング等を経て関東大会での始球式が実現しました。

堺澤さんは「準硬式では学生が主体で行っているスポーツなので、運営側も学生に寄り添って、選手が良い環境でプレーできる環境づくりを心掛けています。」と言います。

今回「女子選手の積極的な受け入れ」を表明したことにより、女子選手たちが選手として活躍する機会が増えることはもちろん、学生主体で運営を行う準硬式野球では『選手×学生委員』として、自らの力で女子野球の普及や女子選手がプレーしやすい環境を作ることができるという魅力があります。

高校野球や大学野球において、過去にも女子選手が活躍していたことはありますが、連盟をあげてこの様な発表を行うことは異例なことです。一連盟として女子選手の活躍を後押しするということは実際にプレーする選手にとっては大きな意味を持つことだと思われます。

また、女子準硬式野球準備委員会の委員長を務める浅野修平さんは現在、帝京大学準硬式野球部とGOODJOB女子硬式野球部の監督を兼任しています。

準硬式野球と女子野球の双方の魅力や現状を理解する浅野さんの存在は女子選手にとって心強い存在になることでしょう。

大学準硬式×女子野球 女子選手にはどのような活躍の仕方があるのか?

準硬式野球が女子選手の受け入れを表明したとはいえ、実際に女子選手が準硬式野球部で活躍していくためにはハードルは多く存在します。

まず、女子選手が準硬式野球部に入部するに際して不安があることと同様に、野球部としても女子選手を受け入れることに不安はあると思われます。過去に女子選手を受け入れたことのない部であれば尚のことでしょう。

そこで女子準硬式野球準備委員会では、入部の段階から選手と部の間に仲介役として入ります。「入部を考えている選手はまず準備委員会にDMをしてください」としており、入部段階での選手と部のミスマッチが起こることを防ぎます。

実際、この春に準備委員会を通して1名の女子選手が準硬式野球部への入部を決意しています。

そして当然、男子選手との体力差の問題もあります。強豪大学のメンバーを見ると、名門高校出身の選手や、甲子園に出た選手も見受けられます。また、西武の大曲錬投手や元楽天の鶴田圭祐(帝京大学卒)投手など、大学準硬式からNPB入り選手もいるなど、レベルは決して低くはありません。単純に男子選手との競争となった時、女子選手が出場機会を勝ち取るということは難しいことかもしれません。

それでは、大学準硬式野球部に入部した女子選手はどの様な形で活躍することができるのでしょうか?

大学準硬式野球では以前、女子選手が特殊な形で活躍した実績があります。2018年女子野球W杯に選出された田中美羽選手(現埼玉西武LL)は当時日本大学の準硬式野球部で平日の練習を行い、女子硬式野球の社会人チーム・アサヒトラストにも所属し活躍していました

日本大学準硬式野球部で練習する田中美羽選手

大学に通いながら女子のクラブチームに所属するという選手は以前からいますが、チームの活動日やグラウンドまでの距離など、練習量を確保することが難しいという問題点があります。

今回の準硬式の発表はその問題を解決する一つの方法となります。所属大学の準硬式野球部で男子と共に高いレベルで自身の能力を高め、女子のクラブチームで全国大会に出場したり、女子野球のW杯にも出場することができるということは田中選手の前例からも分かります。

2020年クラブ選手権で優勝した田中選手と運営として大会に携わった準硬式の選手たち

また、準硬式野球連盟では女子選手の選手登録に関しても柔軟に対応する議論を進めており、大学の準硬式野球と女子野球のクラブチームの双方で選手登録が可能となることも実現するかもしれません

もし準硬式と女子野球の二重登録が可能になれば、大学準硬式の大会に選手として出場しながら、クラブチームで女子野球の全国大会に出場するという形で女子選手はフルに野球に打ち込むことができる環境となります。

学生主体の運営だからこそできる女子野球選手としての新たな活躍の場作り

女子選手の受け入れに向け、学生主導の運営で大きく舵を取った準硬式野球。準硬式野球と女子野球、どちらも野球界ではマイナーな部類となってしまうのが現状ですが、それぞれ伝わっていない魅力をたくさん持っており、多くの野球選手が自分なりの活躍をできる可能性を秘めています。

また、準硬式は学生主体で運営を行っていることも特徴の一つ。女子選手が活躍できる環境ができることを“待つ”のではなく、自らの力で“作る”ことができます。およそ10年間で大きな変化を遂げた女子野球界。選手当事者やそれをサポートする学生の力によって、今までとは全く異なる形でも発展していくことが期待されます。

関連記事

vivinaru

ヴィヴィナル

vivinaruとは?

vivinaru(ヴィヴィナル)は、スポーツをしているしていないにかかわらず、全ての女性の人生の彩りを豊かにする情報を発信する女子スポーツメディアサイトです。「ウェルネス」「ライフスタイル」「トレーニング」「スポーツコラム」「イベント」など多彩な情報を発信していきます。