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山梨県からヴィーナスリーグ参戦へ!! 「野球×介護職」バンディッツガールズの取り組み

関東女子硬式野球連盟が主催する「ヴィーナスリーグ」は、年々参加するチームが増えています。

女子硬式野球チームは全国的にも増加傾向にあり、ヴィーナスリーグでは埼玉西武ライオンズ・レディースやGOODJOB女子硬式野球部などが2021年初参加を果たしています。

ヴィーナスリーグの参加チームを見ると、“関東”女子硬式野球連盟としていますが、福島レッドホープレディースや松本国際高校、開志学園高校、日本大学国際関係学部など、東北や中部地方のチームも参加しています。

今回紹介するバンディッツガールズは山梨県内で唯一の女子硬式野球クラブチームです。バンディッツガールズの選手たちは、IOT株式会社・株式会社SPEROの社員として山梨県内の介護施設「Orchid」で就業しており、施設は甲府市と富士河口湖町に3ヶ所あります。

Orchid酒折(IOT):山梨県甲府市
Orchid河口湖(SPERO):山梨県南都留郡富士河口湖町
Orchid船津(IOT):山梨県南都留郡富士河口湖町

バンディッツガールズ選手の生活

勤務時間:17:00-翌9:00(月8回)
月収:16万円(資格に応じて昇給あり)
住居:会社負担(2LDK・2名居住)
練習:平日14:00-17:00(週2-3回程度)の個人練習、土日9:30-17:00の全体練習

球場の環境

殿原球場

今季はチームとしてヴィーナスリーグに参加することは叶いませんでしたが、専用球場の殿原スポーツ公園野球場でヴィーナスリーグの試合を開催しており、メンバーも運営に関わっています。

黒土・天然芝の公式戦を行うこともできる専用球場を持つことは、女子野球チームでは珍しく、バンディッツガールズのヴィーナスリーグ参戦や殿原球場での公式戦開催の増加により、山梨県内でも女子野球が盛り上げていくことだと思います。

同球場はヤングリーグに所属する山梨バンディッツヤングと共同で使用しており、両チームは合同練習・紅白戦と積極的に関わっています。また、女子選手たちは人数が揃わず大会参加はできませんが、ヤングの練習試合に参加するなど試合経験を積む機会は豊富にあります

バンディッツガールズで現在プレーしている選手たちに実際の生活について聞いてみました。

週2回の夜勤と練習を両立する選手たちの生活環境は?

── 現在の生活環境を教えてください

長田選手:夜勤が平日週2回、月8回というシフトで、土日は野球。平日1日はプライベートの時間を作れます。また、夜勤の入りの時間も17時なので、そこまでの時間に通院したりすることもできます。平日の昼は空き時間が多いので、自主練をしたり、プライベートな時間に当てたりという生活です。野球に使うにしても、プライベートに使うにしても自由な時間は多いです。

渡辺選手:選手2人で会社提供の住居に住んでいて、夜勤を入れ違いで行っている中で、夜勤明けにもう一人の選手と11時ごろまで練習を行い、午後は休息をとるという生活をしています。

髙島選手:甲府市の施設で週2回の夜勤をしています。平日は夜勤明けの14時くらいから17時くらいまで、ヤングの夜練に混ざる場合は21時まで練習をしています。

── 夜勤をやりながら、野球をするということはキツくないですか?

渡辺選手:最初は私たちもその様なイメージを持っていました。しかし、一緒に住んでいる加藤選手と私はピッチャーで、バッティングに長い時間を使うということもなく、キャッチボール・ノックを短い時間で行えるので、今の生活にはあっていると思います。

加藤選手:仕事が休みの日に野球、あるいは仕事が終わって野球という形なので、しっかり寝ることさえできれば、あとは自己管理次第でなんとかなると思います。私は最年長ですが、若いみんなと一緒にプレーできているので、体力面でキツいということはないです。

渡辺選手:社会人として入ると仕事に追われるというイメージがあると思うのですが、仕事と野球は全く別物という感じです。野球に仕事を持ち込むこともなければ、その逆もなく、両方に集中することができます。

── 球場・練習環境について教えてください。

長田選手:メインの球場の横にナイター設備付きのソフトボール場があり、平日夜の練習はそこで行います。その上にはブルペンと内野が取れるスペースがあり、そこにもナイターがついています。ヤングがメインの球場で試合をしていても、女子はソフトボール場で練習をすることができますし、平日いつ来ても球場を使うことができます。

渡辺選手:私の勤務地・住居である河口湖から球場までは車で1時間くらいです。みんな車をそれぞれ持っていますが、一緒に住んでいる選手と乗合で球場に来ることが多いです。駐車場代や移動の交通費も出していただいているので、車の維持費等が大変ということもありません。

髙島選手:甲府から球場までは車で45分くらいです。最初は車を持っていなかったので、一緒に住んでいる先輩やもう一人の甲府勤務の先輩に球場まで連れてきてもらっていました。先輩方がすごく優しくて色々連れていってくれたり、練習したいと思えば誰か一緒に行ってくれる人がいるので、車が準備できない人でも全然大丈夫です。

── 住居について教えてください。

渡辺選手会社が提供してくれていて、家賃は0円です。2LDKに2人で住んでいて、それぞれの部屋があります。

長田選手:私は甲府出身なので実家に住んでいます。他の4人がそれぞれ2人ずつ住んでいますが、一緒に住んでいる2人はシフトの関係上、家に一緒にいる時間は少ないので、感覚的には一人暮らしに近いと思います。特に嫌だという話も聞いたことはないですね。

── 月給16万円と聞くと少なく感じる人もいるかと思いますが実際に生活してみてどうですか?

渡辺選手:私たちも最初は少ないかなと思ったのですが、家賃を払う必要がなくて、交通費も出してもらえます。また、野球に使う時間が多いのでお金を使うことも少ないので、足りないと思ったことはないです。

髙島選手:給料は高いとは言えないですが、家賃を初め会社側が色々負担してくれているので、自分の欲しいものをご褒美として買ったりすることくらいはできます。車も維持しながら生活していますが、カツカツみたいなことはないです。

── 山梨(甲府・河口湖)での生活はどうですか?

長田選手:山に囲まれていて空気はいいですね。球場は高台にあるので夜になると夜景を見下ろすこともできます。電車はほとんど使わず、車での移動がほとんどですが、ドライブで長野や静岡まで下道でいろんなところにいくことができるので、それも楽しみ方の一つだと思います。山梨は温泉も多いので休みの日に行くこともあります。

渡辺選手:私は東京出身なのですが、空気はすごく綺麗だなと感じています。勤務地は河口湖ですが、そこからは富士山がすごく綺麗に見えます。私の習慣なのですが、富士山に向かってランニングするということで、モチベーションになっていたり、今までにない感覚で練習できています。

山梨の街並みを一望できる球場からの景色

── ヤングと一緒に練習することでプラスになることはどの様なことですか?

加藤選手:中学生はみんな必死で元気にやるので、社会人になって少し緩んでいる部分があったとしても、中学生のプレーをみて「もっとやらなきゃな」と初心を思い出させてくれます。

髙島選手:すごくレベルが高く、女子だったら余裕でアウトになるところがアウトにならないので、スピードを意識することができます。女子野球ではあまりやらない細かい連携プレーなどをヤングと練習できたり、監督の洸さんも走塁とかに力を入れて練習するので、他の女子チームがあまりやらないことに力を入れてできる、女子野球に今までない部分での強みができるのではないかと思っています。

── 総じて、バンディッツガールズの魅力を教えてください。

長田選手:専用球場があったり、平日・土日含めて野球に携わる時間が多いということです。今は女子野球チームとして試合は行っていないですが、ヤングリーグの中学生と一緒に練習・試合をすることで基礎の部分でもう一度自分を見つめ直すことができたり、中学生から教わることも多いので、合同練習という形の中でいい練習ができているのかなと思います。

渡辺選手:本気で日本一を目指してやっている中で、高校や大学のような厳しさよりも本当にみんなが楽しんでやっているチームです。厳しさもある中で、上手くなった喜びを感じられたり、チームのメンバーも仲良く和気藹々とやっているイメージがあるので、心から野球を楽しみたいという人におすすめです。

髙島選手:女子野球の中でずっとやってきた監督であれば、小技ばっかりであったり、必ずバントで送るということが基本になりますが、洸さんの下で野球をすることで新たな発見もあったりします。

加藤選手:みんな若いので、すごく元気があります。変なところを貶すわけではなく、いじりあってお互い高めあっていくというチームなので、すごく良いチームだと思います。

── 最後に、入部を考える女子選手にメッセージをお願いします。

長田選手:野球の環境はもちろんのこと、仕事に関しても野球部に理解していただいている方が多くて、やりやすい環境は整っています。一番の魅力はチームの仲が良いということです。ヤングの子たちとも教えあったりしてすごく仲が良いです。指導者や保護者の方も含めみなさんによくしてもらっています。この環境でぜひ一緒に野球をやりましょう!!

渡辺選手:クラブ生として入っている選手もいて、今後も積極的に受け入れていく姿勢です。移動や日程調整は大変だとは思いますが、関東に住んでいる方はクラブ生としてもぜひ来ていただけたらなと思います。

加藤選手:元気が良くて、仲が良いチームなので、その中で一緒に仲良く切磋琢磨してやって行ければ良いなと思います。

神奈川県から週末のみ参加する大学在学中のクラブ生も在籍

── 角方さんはクラブ生ということですが…

角方選手:クラブ生はチームでは一人で、神奈川県から通っています。神奈川大学の1年生で、大学の部活やサークルには入っていません。

── バンディッツガールズを選んだきっかけは?

角方選手:大学で教員免許をとって、指導者として女子野球を広めていけたらなという思いも持っています。ヤングと一緒に練習をさせてもらえる中で、教える側に立てる機会があるということも魅力に感じた一つの理由です。開志学園出身なので先輩に誘っていただいたということも大きな理由です。

── 大会に参加できていないですが、その点はいかがですか?

角方選手:ヤングの選手を何人か借りて、ヤング相手に女子メインで組んで試合をしたり、紅白戦でヤングに混ざってやったりしているので、試合感から離れるということはないと思います。相手が女子ではないので感覚的に違う部分もありますが、試合数でいえば他の女子チームよりもできていると思います。いつも使える試合会場があるので、毎週末簡単に試合を組んでもらうことができています。

── どの様な形で練習や活動に参加しているのですか?

角方選手:金曜日の夜、大学が終わった後に山梨に来て、先輩や同期の家に泊めてもらい、日曜の夜に帰るという形です。クラブ生なので、多少お金がかかってしまう部分もありますが、バイトを入れて良いよと監督からも言われていて、毎週末必ず来なければいけないという縛りもなかったことは良い点だったと思います。

── クラブ生を考える選手に向けてメッセージをお願いします。

角方選手:県外から通うとなれば、移動も大変だとは思いますが、この日必ず行かなければいけないという様なこともなく、自分の都合で練習に参加できます。大学や専門学校に通っていれば授業との兼ね合いもあると思いますが、そういう時もそれなりの対応をとっていただけるのでそこはおすすめです。

角方選手:今はクラブ生は一人で、他の選手は仕事もやっている中で一緒にいる時間は少ないですが、そこに溝を感じることもなく、仲良くしてもらっているのでそこは魅力です。

元読売ジャイアンツ髙橋監督の下、整った環境下で練習に打ち込む

監督:髙橋 洸(たかはしこう)

野球歴
日本文理高(2008-2010)
読売ジャイアンツ(2011-2017)
深谷組硬式野球部(2018)

指導歴
富山バンディッツヤング(2019)
バンディッツガールズ・山梨バンディッツヤング(2020〜)

髙橋洸監督からメッセージ
野球が好きでやってみたい、続けたいなどその様なお気持ちが少しでもあるのであれば野球一緒にしたいと思っております。私自身も就任間もないですが、野球に育てられた1人の野球人として野球に恩返しがしたいと思っております。

髙橋監督Twitter

髙橋監督にもお話を聞かせていただきました。

── 髙橋監督の現在の生活を教えてください

髙橋監督:平日の日中はバンディッツガールズ、夜は山梨バンディッツヤングの夜練を見ています。

── 選手たちは髙橋監督につきっきりで指導いただけるということですね?

髙橋監督:そうですね。今は人数が少なく、自主練とする日もありますが、今後人数が増えていくにつれて全体練は今よりも増やしていきたいと思います。

── 女子を指導する中で男子と違いを感じた部分や心掛けていることはありますか?

髙橋監督:まず一番に、ライトゴロがあるということは衝撃的でした。違いを感じたのはそれぐらいですかね。女性なので体調との付き合いはあるとは思いますが、社会人なので練習量を減らしたりは自分たちで調整してもらっています。女子野球の経験者からは「これは女子はできないよ」「それは違うでしょ」と言われることもありますが、「このプレーをなんとしてでもできるようになりたい」と思う選手には付き合っていくつもりですし、「女性だから」ということは一切考えたことはないですね。

── 監督から見てヤングと一緒に練習することでどの様なことがプラスになっていますか?

髙橋監督:ヤングの子たちはまだ中学生なので、ピッチャーであれば変化球を女子選手に聞いて教わったりしています。女子選手は人数が少ないので、ヤングの子たちが練習を手伝ってくれたり、守備ではお互い教えあったりしているので、お互い良い関係性は保ってやっています。ちょうど姉弟くらいの年齢なので、仲良くやっています。

── 今後も同じように活動して行こうと考えていますか?

髙橋監督:ヤングの監督とヤングと女子を別にしようという話をすることは一切ないです。野球場とソフトボール場2つ使うことができますが、別れて練習をしようという話もないです。

── それは女子選手が増えたとしても変わらないですか?

髙橋監督:変わらないと思います。当然、ヤングが40人、女子が30人という規模になれば考えなければならないかもしれません。ただそうなったとしてもバッティングと守備でグラウンドを分けるというような、一つのチームの中でメニューを分けるという形で考えています。

── 監督の目線から見て選手たちの今の生活環境はどうですか?

髙橋監督:もちろん夜勤をしている中で、「疲れてきたな」「眠そうだな」と感じることはあります。そういう時は、僕の判断で「夜練には参加しないで帰って休んで」と声をかけることもあります。ただ、施設の社員さんからも「女子野球の選手が頑張ってくれている」という話を聞けています。キャプテンの長田が2年目、その他の子が1年目と、なれない介護をする中で社員さんからも悪い話が出ていないのでよくやってくれていると思います。施設の職員の方々との関係も良好だということはすごく感じますね。

── 来年の目標は?

髙橋監督:試合に勝つことも大切ですが、遊びではない方で楽しく賑やかに野球ができれば良いかなと思います。僕自身が現役時代そういうタイプだったので、そこは変わらずやっていきたいです。監督として注意することはしますが、みんな楽しくできたらいいなと思っています。

── 監督と選手の距離感も近いように感じます。

髙橋監督:そうですね。色々みんなから話しかけてくれますので、僕もありがたいです。「女子野球ってこうなんですよ」と選手から教えてくれたり、一緒に女子野球の試合を見ながらも教えてもらうこともあるので、僕も勉強させてもらっています。

── バンディッツ入部を考える選手にメッセージをお願いします。

髙橋監督:社員としてもクラブ生としても真面目に野球に取り組んでくれて、野球が好きでやりたいという選手にきて欲しいです。もちろんルールはありますが、続けたいけど場所がないという選手にはぜひきていただきたいです。

県外から通うクラブ生も含め6名の選手が活躍 

現在、バンディッツガールズではクラブ生を含め6名の女子選手が活動しています。

地域密着型チームの活躍が目立つ女子野球 山梨で女子野球の流行を!

近年の女子野球界では、ホーネッツレディース(北海道喜茂別町)、東海NEXUS(愛知県一宮市)、東近江バイオレッツ(滋賀県東近江市)、淡路BRAVE OCEANS(兵庫県淡路市)など、地域密着型のクラブチームの存在感は年々強まっています。

北海道喜茂別町ホーネッツレディース
埼玉県加須市埼玉西武ライオンズ・レディース
愛知県一宮市東海NEXUS
滋賀県東近江市東近江バイオレッツ
兵庫県淡路島淡路BRAVE OCEANS
広島県廿日市市はつかいちサンブレイズ
愛媛県松山市マドンナ松山
鹿児島県鹿児島チェストクイーンズ
沖縄県沖縄ティーダバル

山梨県は甲子園優勝なし、都市対抗本戦出場なしと野球が盛んな地域とは言えません。

バンディッツガールズは中学硬式野球チーム「山梨バンディッツヤング」と練習を共に行うなど、野球界全体の次世代の育成に向けた影響も大きいのではないでしょうか。バンディッツガールズの活動により、女子野球の力で山梨県全体の野球熱が高まっていくことに期待です!!

バンディッツガールズお問い合わせ先

バンディッツガールズでは来季のヴィーナスリーグ参加に向けて新戦力を募集しています。

TEL:090-0425-0731
Mail:bandits.girls2019@gmail.com
公式Twitter
公式インスタグラム

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