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「世界に向けて野球普及活動Vol.6」 日本がアジア野球を牽引する存在に!!アジア10ヶ国でライター活動を行う豊川遼の思い

皆さんは女子野球が世界でどのくらい盛んに行われているかご存知ですか?

あまり知られていませんが女子野球にもワールドカップがあり、日本代表は大会6連覇を達成するなど圧倒的な強さを誇っています。

今回取材にご協力いただいた豊川遼さんは、アジア各国で女子野球の国際大会を取材しているフリーライターです。日本が圧倒的な強さを誇る女子野球ですが、現在アジアの各国で普及の動きが強まっています。「日本一強」の構造ではなく、世界中に女子野球が拡まるためにはどの様なことが必要なのでしょうか?アジア各国の女子野球事情に精通する豊川さんに話を聞いてみました。

【豊川遼(とよかわりょう)】1990年生まれ。 青森県青森市出身。
青森南高校外国語科・東京国際大学出身。国際大会やアジア各国の野球普及活動を取材するフリーライター。香港で行われたフェニックスカップを皮切りに、女子野球の国際大会にも足を運び、アジアを中心に10の国と地域を訪門。現在は地元青森で「アジア野球」「女子野球」「Baseball5」を軸としたオウンドメディアの運営も行っています。

[海外渡航歴]
韓国・台湾・インド・アラブ首長国連邦・香港・インドネシア・中国・ラオス・スリランカ・フィリピン

豊川さん運営オウンドメディア
「語学×野球のフロンティア」野球ファンに第3の選択肢を提供するためのメディア

投手力のレベルアップと実践経験が課題 アジア各国の女子野球事情

女子野球アジアカップ 台湾代表・香港代表

── アジア各国の女子野球事情を教えてください。

豊川さん:日本みたいに中学・高校・大学・社会人と世代で別れているわけではなく、大学生から社会人くらいの世代が一緒にプレーしているのがほとんどです。先日はパキスタンで大学女子の大会があったり、台湾でも女子野球のリーグ戦が行われていたり、より拡めていこうという活動はしていますが、どの国も実戦経験が少ないのでレベルアップの機会も少ないかなというところです。

── 日本の女子野球は実践経験を積める機会は増えてきていますね。

豊川さん:はい。日本のいいところはいろんな世代で代表が組めることだとも思います。他の国でも高校生や大学生、社会人で野球をやっていますが、それで代表チームを組めるかというと難しい。日本はちゃんとU-18での代表チームがあり、U-23やU-15を組むこともできると思います。女子野球でそうやって組めるのは日本もしくはカナダ・アメリカくらいだと思います。男子野球の侍ジャパンのようなピラミッド式の年代別の育成が他の国でもできていければなと思います。そこに日本が協力して、引っ張ってレベルアップしていけばいいなと思います。

── アジア各国で女子野球が発展するために必要なことはどの様なことだとお考えですか?

豊川さん:まずはとにかく実戦経験ですよ。あとは、日本と比較して見た時にピッチャーの差が大きいと思います。日本は100キロから120キロをバンバン投げますけど、他の国だと70キロから90キロくらいです。指導者がいないことも問題だと思います。野球の身体の動かし方を指導できる指導者が1人でも2人でもいれば大きく変わると思っています。

── 豊川さんが訪れた10ヶ国の中で特に面白かった国はありますか?

豊川さん:うーん、全部面白いですからね…やっぱりその国の独自のものがあるので。日本にはないかなと思ったことは1球1球に対する気持ちの表れかなと思います。

── それはどういうことですか?

豊川さん:例えば三振をとって喜ぶ姿であったり、たった1点をとっただけなのに優勝したかのように喜びを爆発させたりだとか。日本だとやりすぎるのはどうかなと思われているところはあると思います。やりすぎてしまうと良いことかどうかは分かりませんが、嬉しいと思う気持ちを爆発させている姿には惹かれましたね。

── アジア各国の野球を観て、ここ最近で伸びている国はありますか?

豊川さん:海外の野球を見始めて7年目になりますが、野球という言葉すらないところから一気に伸びた、環境が整い始めているという点ではラオスが1番だと思います。ラオスは2013年に韓国プロ野球で3冠王をとった方が普及活動をされています。その方は韓国プロ野球で監督もされていたので、そのツテで道具を集めたり、韓国から指導者を呼んだりして選手の指導を行っています。

── ラオスに野球のイメージはありませんでしたが、力を入れているんですね。

豊川さん:はい。ラオス国内で野球を初めて大体2年くらいで国内の野球大会を開くようになりました。自分が観に行った2019年はサッカー場で試合をしていましたが、その年の冬には韓国の企業の支援でちゃんとした野球場ができました。

── アジア各国では「野球場」と呼べるものは少ないのですか?

豊川さん:正式な野球場と呼べるものがある国は少ないと思います。プロがある韓国、台湾は当然別で、最近だと中国で建設ラッシュが起きているという話も聞きますが、その他の国ではほとんどないと思います。

アジア各国で野球・女子野球普及に向けた取り組みを行っているものの、指導者不足や実践経験不足、野球場などの環境面が整っていないことで、もう1つ上のステージに進むことがなかなか難しいようです。

次項では各国の女子野球事情を知る豊川さんに、女子野球界を牽引する日本の果たすべき役割について聴いてみました。

アジア各国の憧れである日本が率先してアジア女子野球の発展を!!

── 豊川さんは女子野球の国際大会も観戦しているんですよね?

豊川さん:はい。女子野球の国際大会で今でも忘れられない試合があります。2019年のアジアカップ、日本対パキスタンで38-0となった試合です。日本が初回で26得点。自分も見ていて初めてだと思ったのは、点数を取れば取るほど球場の雰囲気が悪くなっていく。終いには早くアウトになれという声も出てくる。そんな試合でした。

── 点数を聞いただけでも凄い試合ですね。

豊川さん:さらに印象的だったのが、試合後にパキスタンの選手に話を聞いたところ、「世界No.1の日本と対戦できて嬉しい」と喜んでいたことです。「対戦する前から試合の結果は分かっている。私たちは負ける。でも、世界一の日本からたくさんのことを学べれば、私たちはそれで嬉しい。だから、38-0で負けても私たちにとっては幸せな時間だった。」と話してくれました。

2019年女子野球アジアカップ 日本 対 パキスタン

── 日本の女子野球がアジア各国からの憧れとなっていることが分かりますね。

豊川さん:今はコロナ禍で難しいところもありますが、もうちょっと日本が動いて欲しいなと思います。もちろん日本代表選手を海外に派遣して野球教室をしてということはしているのですが、チーム単位でどこかの国に行って、その国の選手たちと技術の交換をするということをやって欲しいです。今は日本代表にならないと海外にいけないので。

── なるほど。やりたい選手は多そうですが、ハードルは高いように感じてしまいます…

豊川さん:もちろん他の言語で説明することは難しいとは思いますが、プレーを見ればなんとなくわかることが野球のいいところでもあります。より国際交流をしていくためにもまずは日本がやっている姿を見せる必要があると思います。今はZoomやTikTokといったツールもあるので、使わなきゃもったいないなと。

── まず行ってみる・やってみるということですね?

豊川さん:そうですね。2019年のアジアカップで日本代表の選手が驚いていたことは、パキスタンの選手の背番号がガムテープで貼ってあったことです。日本じゃありえないことじゃないですか。そういった現状も自分の目で見ないと分からない部分があるので、どんどん海外にいく選手が増えればいいなと思います。

女子野球アジアカップ パキスタン代表

── 女子野球W杯ももっと注目されるようになって欲しいですよね?

豊川さん:日本のチーム・選手が他の国のために動いてくれたらW杯自体がもっと注目されると思います。今6連覇していて、7連覇を目指すということですが、正直何十対0とかそういう大差の試合は見たくないんです。今日本は30連勝していますが、日本に勝てるくらいの国が出てくることで開かれる女子野球の新しい時代を見てみたいと思います。

── 確かに「日本一強」が続いている状況では「女子野球の世界的な普及」とは言えないですね…

豊川さん:そうですね。もちろん、日本が負けて欲しいとかそういうことではないです。今は台湾・カナダ・アメリカが日本に対抗できる実力があると思いますが、その他の国だとちょっと難しい。なので少しずつその差を縮めていって、大会前にどこが優勝するか分からないとなるほど他国のレベルが上がっていけば世界的に発展していくと思います。

── 日本が果たすべき役割はたくさんありそうですね。

豊川さん:中国のアジアカップの時に代表監督をされていた福知山成美の長野監督が「ただ勝つだけではなく、女子野球が今後発展していくためにプレーだけではなくて試合前後の行動まで他の国に見せたい。」とおっしゃっていました。まさにその通りだなと。日本は世界のお手本なんだと。

世界の女子野球界を牽引する日本ですが、豊川さんの話を聴いているとまだまだ世界に向けてできることはありそうです。マドンナジャパンが絶対的王者として勝ち続ける姿も観たいとは思いますが、日本の女子選手一人一人が世界の女子野球発展に貢献し、結果的にマドンナジャパンが敗れるという形が理想なのではないかと感じました。

最後に、アジアの野球普及活動にライターとして貢献する豊川さんはどの様な経緯で現在の活動をする様になったのでしょうか。豊川さん自身の経歴やライターとしての活動方針を聴いてみました。

注目されていない選手にもスポットライトを!! 豊川さんのライターとしての活動方針

女子野球アジアカップ インド代表のコーチ・選手

── 豊川さんご自身の野球歴を教えてください。

豊川さん:プレイヤーとしては小学校だけですね。中学校以降は完全に見る側になりました。

── 大学選択の決め手を教えてください。

豊川さん:青森南高校の外国語科出身で当時から英語が好きだったので、「海外に対しての仕事がしたい」と思っていました。青森県内には英語の専門学科がなかったので、どうしても県外に出る必要があり、その時に見たのが埼玉の東京国際大学でした。

── 国際系の大学は他にもあると思いますが、なぜ東京国際大学だったのですか?

豊川さん:最近だと駅伝で有名になりましたが、当時は大学として「運動部全体を盛り上げていこう」という時期で、野球部の監督を元広島カープの監督である古葉竹識監督が務めていました。自分自身が野球部に入る訳でもないですが、同じ大学の学生として「古葉監督の采配を見たい」という気持ちで進学を決めました。

https://ryointernationalball.com/post-1429/
豊川さんオウンドメディアより

── 珍しい理由ですよね。

豊川さん:もちろん、大学として英語の勉強ができる環境はあったので、まさしく「一石二鳥」ということです。昔からプロ野球12球団の本拠地のある県にいきたいという思いもあったので、西武ライオンズがある埼玉県にあることにも惹かれました。

── 当時から海外向けの仕事を目指していたということですがどのような仕事をイメージしていましたか?

豊川さん:当時は全然イメージは持っていなかったです。「英語を使って世界中に友達を作りたい」だとか、「留学に行ったり他の国の文化を勉強したい」というところがスタートです。あったとすれば通訳です。野球が好きなので、野球に関わる通訳をやりたいなと思っていました。

── 海外に興味を持った最初のきっかけは?

豊川さん:小学校5年生の時から英会話学校に通い始めました。最初はABCも分からず、最初は嫌いだったのですが、中学校1年生の最初の中間テストで高得点を取ることができて、そこから英語が好きになりました。海外に興味を持ったのもそのくらいからです。

── 大学卒業後の進路は?

豊川さん:就活という就活はしていなくて、英会話の先生も少しだけやっていたり、野球のデータ入力の仕事などをしていました。その後、スポーツの業界でお仕事をしたいと思い、専門学校にいきました。その時からライターとしての活動が始まりました。

── 今は主にどのようなお仕事をしているのですか?

豊川さん:1つが、いろんなスポーツの番組表を作る仕事でデータ入力をしています。もう1つとしては海外の野球の試合の映像を観ながら分析とデータの入力。そして、何か話題があれば個人としてライター活動をしている。という3つが主な仕事になります。

── ライターとしてアジア各国で取材を行っていると。

豊川さん:国際大会がある度に現地に行き、出場チームの選手・監督・コーチにインタビューをしたり、大会以外でもその国々で普及活動をしている方にこれまでの道のりについて聞いたりしています。

女子野球アジアカップ 韓国代表試合前ミーティング

── なぜ海外の野球をメインに取材を行っているのですか?

豊川さん:自分が海外の野球に興味を持ってライター活動をしているのは、日本のメディアの一点集中型の報道に疑問を持っているということもあります。特に国際大会になると、日本のチームのこと中心になると思うんですよ。日本のメディアなのでそれも当然だとは思うのですが…

── 確かに対戦相手国の情報はほとんど分からないことも多いですね。

豊川さん:実際に現地に行くと、日本チームのことを追っているメディアはたくさんいるので、自分はその対戦相手の取材にいきます。「日本が勝った!良かった!」ということではなく、大差で勝ったとしても相手チームにも必ず光った選手はいると思います。その選手を1人取り上げれば、その国の野球に興味を持ってくれる人がいるかもしれない。そして男女関わらず、その国のことを応援しようという日本人が増えてくれたらいいなという気持ちでこれからも海外の野球を追っていきたいと思います!!

今回、豊川さんにお話を聞くことができ、女子野球ファンの先輩として、ライターの先輩として学ぶべきことがたくさんありました

私自身、日本国内でもまだまだ発展途上で「海外よりもまずは国内を」という認識でした。しかし、女子野球が世界的に盛り上がることでW杯は今よりも注目を浴びることになり、国内大会の盛り上がり、選手の目標の明確化やモチベーションの向上に繋がるということを感じました。

豊川さんは女子野球への関わり方は「する」「みる」「ささえる」の3つに分かれるという。女子野球の世界的な普及・発展に向けて、「する」「みる」「ささえる」それぞれの方向から貢献できることがあると思います。私たちも微力ながら貢献していきたいと思います!

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