東京六大学野球初の女子硬式野球部創部へ! 明治大学女子硬式野球クラブの初練習に密着
先日の高校選抜大会決勝戦の東京ドーム開催を初め、西武・阪神・巨人の参入など、近年盛り上がりを見せる女子野球。高校やクラブチームのチーム数増加の影に隠れてはいますが、大学女子硬式野球も少しずつチーム数は増加しています。
そして今年、東京六大学初の女子硬式野球部創部を目指し、明治大学女子硬式野球クラブが活動をスタートしました。明治大学硬式野球クラブは、高知中央高校OBである藤﨑匠生さんによって立ち上げられました。
【藤﨑匠生(ふじさきしょう)】
高知中央高校硬式野球部出身。高校卒業後は地元で消防士として5年間勤務。4年前に高知中央高校に女子硬式野球部が創部されたことがきっかけで女子野球の外部コーチとして女子野球に携わり、女子野球に魅了される。甲子園で開催された昨年の高校女子野球決勝戦を経て、女子硬式野球部の立ち上げを目指すことを決意し、明治大学に進学しています。
今回は5月7日に海老名運動公園野球場で行われた明治大学女子硬式野球クラブの初練習にお邪魔し、藤崎監督と冨田選手にインタビューしました。
消防士から明治大学に進学し女子野球部立ち上げへ 藤崎監督インタビュー
── 本日は初練習にお邪魔させていただきありがとうございます!早速ですが、まず初めにチームの正式名称を教えてください。
藤崎監督:明治大学女子硬式野球クラブになります。
── 「部」としていないことには理由があるのですか?
藤崎監督:「部」と言ってもいいとは思うのですが、すごくかしこまった感じもあり、ハードルも上がってしまうかと思うので「クラブ」としています。周りからの捉えられ方の問題ですね。
── なるほど。他大学も含め、広く選手を受け入れたいという思いもあってということですか?
藤崎監督:はい。そういう思いもこめています。
── 現在選手は合計で何人集まったのですか?
藤崎監督:女子の選手で19人になります。他大学からも2人来てくれていて、ソフトボール経験者が19人中14人、5人は野球もソフトボールも経験がないという内訳です。
── 選手は思っていたよりも集まったという印象ですか?
藤崎監督:そうですね。今日は用事でこれなかった選手もいるので、次はみんなで揃ったらいいなと思います。
── 藤崎監督が受験を決意したタイミングはいつ頃だったのでしょうか?
藤崎監督:甲子園で決めました。高知中央の決勝戦を甲子園で見て、気持ちを固めました。
── 確かに六大学に女子野球部ということが実現すれば女子野球選手たちの目標の一つにもなると思います。藤崎さん自身は「女子野球を拡めたい」という思いが先にあり、明治大の受験を決めたということですか?
藤崎監督:そうです。もうそれしかないです。
東京六大学に初めて女子硬式野球部ができるということは女子野球界にとって大きな意味を持つと思っています。これをきっかけに小学生・中学生が明治大学を目指そうと思ってくれたらいいなと思っています。
── 今回、海老名運動公園野球場での初練習となりましたが、今後の活動としてはどのようにやっていく予定ですか?
藤崎監督:今回は球場を借りましたがこれからは生田キャンパスで、月1回とか、2月に1回とか最初はそういったペースでやっていこうかなと考えています。
── 今後の展望・目標はありますか?
藤崎監督:まずは一歩目として大会に出ること、そしてそこで一勝することだと思っています。
目指すのは大学選手権なのですが、女子野球ができる環境を整えたいという思いがあるので、他大学の選手だったりも誘ってクラブ選手権などに出ることができたらいいなとも思っています。
── 質問にお答え頂きありがとうございました。本日の練習頑張ってください!
大学で初めて野球に挑戦 冨田選手インタビュー
── 本日はよろしくお願いします!富田さんは明治大学の学生ですか?
富田選手:はい、明治大学農学部食料環境政策学科に今年入学しました。
── 今までに野球経験はあるのでしょうか?
富田選手:中学・高校とソフトボールをやっていましたが、野球は全くやったことはないです。
── 野球をするのは初めてなんですね!大学に入って女子硬式野球という新たなことに挑戦しようと思ったきっかけは何かあったんですか?
富田選手:ソフトボールに関しては自分の中で満足していたので、元々は大学では運動はしないと思っていました。そんな時に監督に誘われて、新しくソフトとは少し違う楽しさがある野球をやってみても良いかなと思い、入部を決めました。
── 自分も是非野球の楽しさを知って、感じてほしいです。本日の練習頑張ってください!
5月7日に行われたチーム初練習の風景を紹介します!!
海老名運動公園野球場で行われた初練習。集まった選手たちは同じキャンパスを活動拠点とする生田硬式野球部から借りたユニフォームに袖を通し、藤崎監督も緊張の面持ちで練習はスタートしました。
練習メニューはキャッチボール、ノック、バッティング。藤崎監督自身も選手に混ざってキャッチボールをするなど、選手と近い距離感で指導していることが印象的でした。
冨田選手感想
── 練習お疲れ様でした!今日の練習を終えて感想は如何ですか?
富田選手:初心者の子もいた中で初回からここまでできるのが凄いなと思いました。
── 初めての野球の練習とのことでしたが、ソフトボールとの違いを感じた部分はありましたか?
富田選手:凄く感じました。塁間の距離は凄く長いし、ボールの握り方も違ったり、バットも重かったりで結構違いましたね。
── 今後、女子野球をやっていく上で目標や期待していることはありますか?
富田選手:友達を誘っても、「女子野球はさすがに…」という反応をする子が周りには多くて、そういうイメージを払拭できるように、私自身も始めたばかりですが女子野球の楽しさを伝えられるように楽しくやっていけたらと思います。
── 期待しています!本日はありがとうございました!
藤崎監督感想
── 練習お疲れ様でした!まずは初練習を終えての感想をお願いします。
藤崎監督:疲れましたね(笑)まずはやれたということが大きな一歩なのかなと。
── 監督の目から見て、選手の力量はいかがですか?
藤崎監督:予想以上にうまかったです。
── ソフトボール経験者や未経験の選手も多くいますが、クラブ活動を通してまずは何を伝えていきたいですか?
藤崎監督:「野球が楽しい」ということを伝えたいです。勝ち負けとか、上手い、下手とかではなくて、練習の時から楽しんで笑顔でやってもらえたらなと思っています。今日は僕自身も緊張してしまったので…(笑)
── 自分も練習を見ていて緊張が伝わってきました(笑)これからのご活躍期待しています。本日はありがとうございました。
初練習は藤崎監督も多くの選手と初対面だったということもあり、チーム全体から緊張の雰囲気が伝わってきました。しかし、ところどころで見られる選手たちの笑顔や、野球は初めてにも関わらず思い切ったプレーをする姿は、藤崎監督が伝えたいと言う「野球を楽しむ」ということが体現できていたと思います。
藤崎監督の言葉にもありましたが、東京六大学で初の女子硬式野球部が創部するということは、女子野球界にとって大きな一歩となります。藤崎監督が高知中央高校女子野球部に心を動かされたように、明治大の活動によって大学女子硬式野球や女子野球界全体に新たな流れができること期待です!!