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3年間の高校野球生活から国立大学一般入試を経験した島田朱諒が考える高校球児と大学受験

こんにちは!静岡大学の島田朱諒です。
寒くなってきましたね。

12月になりそろそろ受験シーズンです。私も3年前のこの時期は必死で受験勉強に取り組んでいました。今回は高校球児の進路選択についてお話したいと思います。

ところで、今年高校女子野球での一番の話題はやはり夏に行われた甲子園での決勝ではないでしょうか。これは1997年から続く歴史の中で初めてのことであり、女子野球界にとって大きな一歩だったと思います。女子選手が甲子園で躍動する姿に心を打たれた方もいることでしょう。実際に女子野球部を新設する高校も増えており、全国高等学校女子硬式野球連盟には11月30日現在44校が加盟しています。

参考:全国高等学校女子硬式野球連盟HP

しかし、一方でこの選手たちは卒業後どのような道へ進むのだろうかと考えた自分がいました。選手の進路は注目されることが少ないですが、不安を抱えている選手や保護者の方もいるのではないでしょうか。この記事を通して女子球児の進路について一緒に考えていただけたらと思います。

主な内容は大学受験についてですが、高校受験に関しても冒頭で少し触れたいと思います。

私は地元である静岡県浜松市の中学では軟式野球部に所属しており、高校に進学しても野球を続けるつもりでした。しかし、当時は県内に女子野球部のある高校はありませんでした。もちろん県外への進学も検討しましたが、「将来のことも考えて勉強してほしい」という両親の思いや経済的な理由もあり、地元で野球を続けられる道を模索することになりました。

方法は簡単。顧問の先生に直接お会いして「もし入学したら入部しても良いですか?」と聞いてまわりました。今思えば行動力の塊です。唯一「OK!」と言ってくださったのが静岡県立磐田南高校の監督でした。その一言で志望校が決まり、高校入試を経て野球部の一員になることができました。

それと同時に、私の人生で最も大変だった3年間がスタートします

野球部員としての活動は以前記事にしていただいているのでそちらをご覧ください。

今回は学習という切り口からお話します。

磐田南高校は地元でいわゆる進学校でした。毎年、学年の過半数(約150人以上)が国公立大学に合格し、東大や京大など旧帝大に進学した友達もいます。また、推薦入試は原則として認めていません。つまり、一般入試しか道がない。

(参考:静岡県立磐田南高等学校HP )

それ故に野球だけをやっていれば良いというわけではありませんでした

「野球を目的に選んだ進路でしたが、勉強もきちんとしていました。」というわけにはいかず、現役時代は最低限の課題をこなすので精一杯でした。授業中、睡魔との戦いに負けることもしばしば…。テスト期間に追い込むというのが常でした。

そして、以下受験体験記です。

そんなこんなで7月の終わりに丹波での夏が終わりました(丹波連合4番・ピッチャー)。試合後は合宿所に一泊して地元浜松に帰りました。そして、次の日から受験勉強が始まりました

私は塾に通ったことがないので朝7時から日付が変わる0時まで自宅で勉強していました。夏休みに勉強時間が10時間以下だった日はないと思います。というのも、丹波での試合の1週間後に受けた全統マーク模試の結果がすこぶる悪く(444/900点今でも忘れない)、危機感を覚えたからでした。

結果からいうと、今は静岡大学でスポーツ経営学を専門に勉強しています。

実は私が志望校を決めたのは引退してからで、それまでは元々興味のあった歴史の勉強をしたくて文学部を考えていました。しかし、当時女子プロ野球に陰りがみえていたことや、監督のアドバイスを加味してスポーツ経営学を勉強したいと思うようになりました。そこで、経営学部に焦点を当てて進路を考えていました。

ちなみに、女子プロ野球や女子野球部のある大学に進学することは考えていませんでした。私は高校2年生の冬に女子野球日本代表(マドンナジャパン)の2次選考まで進み、橘田監督のもとでトライアウトを経験しました。自分より上手な選手とプレーしたことにより自信を無くしたのも一つの理由で、自分にしかできないことをしようと思いました。

志望校を決め、あとはそれに向かってひたすら勉強するだけでした。今まで野球をしていた時間がそっくりそのまま受験勉強の時間に切り替わりました。目標に向かって突き進む根気と集中力は野球で培ったものが活きたと思います。GW直後から一気に受験モードに変わるクラスの中で、引退の遅い野球部は焦りを感じることもあり、まさに「追いつけ追い越せ」精神でした。「今に見てろよ」と。それがモチベーションでした

現役時代と引退後の平日のスケジュール比較

私の通っていた高校では朝のHRがなかったり、65分授業を採用したりしていたことから放課後の時間が長めです。

1月のセンター試験(現在の共通テスト)まではずっとこのスケジュールで生活していました。私の場合、受験勉強を苦痛に思うことはなく、むしろ楽しんでいました。とはいえ、あんなに取りつかれたように勉強することはもう無いかもしれません。その甲斐あってか12月の最後の模試では8月の模試から220点伸ばすことができました。

一生懸命に勉強してきた受験生は最後の冬に伸びます。目前の模試の結果に一喜一憂せず、自分を信じて最後までやり抜いてほしいと思います

しかし、事件は起こります。

センター試験3日前である水曜日の夕方から体調を崩し、とても勉強どころではありませんでした。結果的には静岡大学に合格することができましたが、体調管理の大切さを身に染みて感じました

塾講師をしている現在も高校3年生には、このエピソードを体調管理の大切さとともによく話しています。

出願を静岡大学に決め、2月は私立入試と並行して国公立2次試験に向けての対策をしていました。高校3年生になると2月は授業がなく、それぞれが自分に必要な勉強を自分で進めることになります。しかし、1月後半~2月前半は私立入試とその対策に時間をとられ、数日間連続して試験を受けることもあります。2月末の国公立前期試験まで思ったより時間がありません。(ただし、いくら時間がないといっても私立入試の対策はしっかりとしておくことをおすすめします。理由は以下の通りです。)

そして2月中盤以降、私立入試の結果が順次出てきます。私は私立前期が全滅で、合格通知が1つもないまま国公立前期に臨みました。滑り止めで受けた大学に落ちるというのはよくあります。その危機感から国公立へかける思いが増してモチベーションが上がりましたが、プレッシャーも人一倍感じていました。できれば私立前期に1枚でも合格通知をもらっておくと心に余裕ができると思います。

16.6倍という国公立前期では高倍率でしたが、無事に合格して進路が決まりました。3月の卒業式後のことです。

さて、野球を続けると決めたのは大学入学後です。様々な部活やサークルを見学する中で、一度野球部にも行ってみようと思いました。そしたら、やっぱり野球がやりたくなった。不思議ですね。結局、野球が好きなんだな、と。

静岡大学には硬式野球部と準硬式野球部がありますが、自分のレベルや生活を考えて準硬式野球部に入部を決めました。静岡大学硬式野球部はとても強いんです。

準硬の先輩や同期も特別扱いすることなく普通に受け入れてくれました。それがとても嬉しかったです。

私の進路選択は、高校入試では野球最優先、大学入試では野球は二の次でした。「野球もやりたいけれど勉強も頑張りたい!」と考えている選手も少なくないのではないでしょうか。地域は限られますが、最近では大学に在学しながら女子野球クラブチームに所属することができるようになってきました。

もちろん、女子野球部のある大学や専門学校へ進学するのも一つの選択肢ですが、他にもたくさんの選択肢があることを知っておいてほしいです。私は少年野球から今まで男子の中でしか野球をしたことがありません。“たられば”を言っても仕方ないのですが、もし本格的に女子野球をしていたらどうなっていただろうと考えることはあります

進路を決めるうえで大事にするものは人それぞれだと思います。野球か、勉強か、それ以外かもしれません。これから進路選択をする女子選手にはぜひ自分で様々な選択肢を調べたうえで、後悔のない道に進んでほしいと思います。その過程でこの記事が少しでも参考になれば幸いです。

まだまだ書き足りない部分はいつかお話する日が来るかもしれません…。聞きたいことがある方はDMにでも連絡ください(笑)

参考までに…
浜松市立東部中学校
静岡県立磐田南高等学校
静岡大学 地域創造学環 スポーツプロモーションコース スポーツ経営学研究室 現在3年

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