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高校野球史上初!?公式戦でマウンドに立った女子野球選手、島田朱諒の激動の野球人生

これまで高校で男子野球部に所属していた選手や大学で男子野球部に挑戦する選手にインタビューを行ってきました。

今回登場していただく島田朱諒さんは、高校では男子硬式野球部に所属、大学3年生の現在は準硬式野球部で男子と共に活動しています

【島田朱諒(しまだあかり)】2000年5月15日生まれ。静岡県出身。
北京オリンピックの女子ソフトボール日本代表の優勝をきっかけに少年野球を始める。地元静岡県の進学校・磐田南高校では硬式野球部で男子と共に3年間活動。静岡大学に進学した現在は準硬式野球部の副キャプテンを担うなど、男子選手にも負けない努力を続けています。

島田選手は高校時代から進学校で野球と勉強の両立し、静岡大学に進学した現在も男子選手たちの中で副キャプテンを務めているなど、まさに『文武両道』です

高校男子野球部で感じたこと」

静岡大の準硬式野球部の雰囲気は?高校との違いは?」

「女子野球普及に向けて思うところは?」などについてインタビューさせていただきました。

皆さんぜひ最後までご覧ください。

きっかけは2008北京五輪 周囲の反対を押し切り野球を始める

── 野球を始めたきっかけはなんだったのですか?

島田選手:北京オリンピックです。
女子ソフトボール日本代表が優勝した試合をリアルタイムで見ていてやりたくなりました。

── ソフトボールを見て野球を?

島田選手:そうですね。周りにソフトボールのチームがなかったこともあるんですけど、「野球がやりたい!」という気持ちになりました。

── チームに入る抵抗はなかったですか?

島田選手:自分は全然なかったです。ただ、親には反対されていました。

北京オリンピックを観たのが2年生で、実際チームに入れたのが4年生なので、2年間親を説得し続けていました。
グローブは買ってもらって、キャッチボールとかはやってくれていましたが、チームに入るのは反対されていました。

── 周りに女子選手っていなかったですか?

島田選手:いなかったです。
少年野球チームには以前にいたという話は聞きましたが、もう卒業していた方で、入部してから知りました。

── 「男子だから、女子だから」という考えはなかったですか?

島田選手:そうですね。小学校の時は活発な方だったので、学校でも男子と遊ぶのも普通のことだったのでなんとも思っていなかったです。
ただ、最初は同級生に避けられていました。やりづらかったんだと思います。

ティーバッティングの相手がいないこともありました。

── 気持ち的にはどうでしたか?

島田選手:練習行きたくない時期もありました。
初めの一年くらいは、野球ができることは嬉しいけど、練習に行くのは気が進まないなという感じでした。
5.6年になった頃には遠慮なく冗談を言い合って普通に接してくれたので、時間が解決してくれました。

── 入団したあとはご両親は応援してくれていましたか?

島田選手:そうですね。
「もう諦めた、そんなにやりたいなら頑張って」という感じでした。

少年野球チームでプレーする島田選手

── 中学校は学校の部活動に所属されていたのですか?

島田選手:はい。
私の学区内の中学校には野球部がなかったので、学区外の中学に進学して野球を続けました。
その時は小学校の先生に反対されていました。

「一番近い中学校のソフトボール部でも良いのでは?
わざわざ遠くの中学に通ってまで野球部に入らなくても…」と。

── ソフトボールじゃなくて野球がやりたかったんですね。

島田選手:そうですね。
中学でも野球ができるということを証明してくれる先輩がいたので。
違う中学でしたが、さこさん(浅野桜子/阪神タイガースWomen)が、中学の野球部でキャプテンを務め、ショートを守っていることを知っていたので、「女子は中学でもできるんだ!」と思っていました。
他にもあかりちゃん(星川あかり/淡路BRAVEOCEANS)は小学校の頃から知っていて、クラブチームで「一緒にやらない?」とさそってもらっていました。

私が小学校から中学校に上がるときにさこさんの存在は大きかったです。
面識はなかったんですけど、噂だけは聞いていて「そういう人がいるんだ、じゃあ自分もできるはず!」という気持ちにさせてくれました。

高校選びの基準は「野球ができる場所」

── 高校の男子野球部を選んだ理由は?

島田選手:女子野球部も観に行きました。
当時は実家の近くにはなく、私立高校ばかりだったので実際にいくのは難しかったです。
そこで、地元の公立の体験入学・入試説明会に行き、野球部の先生に「入学したら野球部入れてくれますか?」と直接聞いて周っていました。
その中で、唯一「いいよ」と言ってくれた磐田南高校に行きました。

── 不安はなかったですか?

島田選手:ありました。
小学校の頃は自分の方が男子よりも足が速かったのですが、中学を引退する頃にはついていけなくなっていたので、高校入ったらどうなるんだろうと思っていました。

── 周りの反応はどうでしたか?

島田選手:自分から見て気になることはなかったです。
周りの選手気にしていたかもしれないですが、練習中は普通に接してくれていました。
後から聞いた話だと、驚いてはいたみたいですけどね。

── キツかったことや、辞めたいと思ったことはありましたか?

島田選手:当然ですが、冬練は体力的にキツかったです。
精神的な部分でいうとノック中のヤジとかはえげつなかったです。
でも、割り切ってお互い言いたいこと言って言われてという感じだったのでお互い様だなと思ってました。

── 女子選手はずっと1人でしたか?

島田選手:はい。
女子マネージャーはいましたが、選手と一緒の行動をしていたのであまり関わることもありませんでした。
他の選手と同じくらいの関わり方だったと思います。

── 相談相手とかはいましたか?

島田選手:一個上の先輩で話聞いてくれる人がいて、ずっとラインで話を聞いて貰ってました。
その人が大学生になってからもずっとでしたね。

── 共感できる相手がいないと溜め込んでしまいますよね。

島田選手:そうですね。部室で1人で泣いたりもしてました。

── 練習メニューもキツかったですか?

島田選手:普段の練習はそこまでですが、トレーニング系のメニューはどうしても最後になってしまうので、雨の日とかはキツかったですね。
私は全力でやっていても周りからは手を抜いているように見えたみたいで、ちゃんとやれと言われることもありました。

── 高校3年間で一番の思い出は?

島田選手:3年生の時の市内だけでやる大会で、背番号付けて試合に出ることができたことです。
本当は男子だけだったんですが、監督が動いてくれて出ることができました。
背番号11をつけて途中からピッチャーで出場しました。

中日新聞2018年4月22日掲載

── その時の周りの反応はどうでしたか?

島田選手:みんな応援してくれました。
3年生でも夏の大会でベンチに入れない人は結構いたので、その大会は唯一自分たちの学年全員がベンチに入れた大会でした。
私のことだけではなく、3年生みんなでベンチ入りできて良かったとなっていました。

── 練習試合は出ていましたか?

島田選手:練習試合は基本的に相手監督がOKしてくれていたので出れていました。
大会だとグラウンドに少しでも出たらダメというのは、なんとかならないのかなと思います。

── グラウンド整備も禁止されていますよね。

島田選手:高野連は「危ないから」という理由から女子の参加を認めていませんが、
男子だったら素人でも参加できるじゃないですか。
危険度で言ったら、普段練習している女子よりも素人の男子の方が危ないと思うんですよ。
それはどうなのかなと思います。もっと普段の練習を見て欲しいなとは思います。

うちの監督は練習試合の前に「女子がいるんだけどどの子か分かる?」といつも聞いていたみたいです。
相手の監督が「え?どの子?」という反応を楽しんでいたそうです。

── そこで女子選手と分からないくらいなら危険と感じますよね。

島田選手:そうですよね。
練習の段階で明らかに女子だと分かるようなら危険というのも納得できるんですけど…

── 相手チームの選手はどんな反応をするのですか?

島田選手:ヤジで「女子に打たれるなよ」みたいな声はよくありました。
そんな時は「見とけよ」と燃えました。
逆に手加減せずにやって貰えると認められてるなと感じます。

── 変化球使われるとちょっと嬉しいですよね。

島田選手:それめっちゃ共感します!
一打席目は絶対舐めてくるので、ストレートを狙い撃ちして結構ヒット打ってました。

大学3年生の現在は静岡大準硬式野球部で副キャプテンを務める

── 大学進学後も野球をやろうと考えていましたか?

島田選手:受験の時は考えていませんでした。
高校生の時にマドンナジャパンのトライアウトの2次選考までいきましたが落ちてしまいました。
女子野球のレベルの高いところでやったことで自信を無くしてしまい、高校野球をやり切ったらそれでいいなと思っていました。
女子野球部がある大学に行きたいとは考えていなかったです。

── 静岡大ではどんなことを勉強しているの?

島田選手:地域創造学環のスポーツプロモーションコースで、専門はスポーツ経営学を勉強しています。

高校生の時は高校野球が終わったら野球と縁を切ろうと思っていて、高三の夏までは文学部志望でした。
そのことを監督に相談したら「野球をここまでやってきて、もったいない、せっかくだから野球に生きることをやった方がいいんじゃない?」と言われ、スポーツ経営学やスポーツマネジメント系に方向転換しました。

── 大学に入ってから野球部に入ろうと思ったきっかけは?

島田選手:大学でサークル・部活に入らないのは寂しいなと思い、色んなサークルを周っている中で「一回野球部も見てみるか」くらいの軽い気持ちで野球部にも行きました。
静岡大には硬式・準硬式がありますが、硬式野球部は全国大会にも出場するくらいレベルが高く、
大学生になって週6日も練習したくないという気持ちあり、準硬式を見にいったら自然と入部する流れになっていました。

── 全員が受け入れてくれる感じでしたか?

島田選手:そうですね…。最初は驚いていたかもしれないですが、同級生に県内出身の選手がいて、私のことを知っていました。
「磐田南だったよね?」という感じで話しかけてくれて、そこから他のみんなとも打ち解けていきました。
キャッチボールとかも普通にやってくれたので、「受け入れてくれない」と感じることはなかったです。

── 大学生と高校生だと違いますか?

島田選手:はい、違います。
先輩たちも凄く大人で、男女とか関係なく普通に話しかけてくれます。

── 高校生だと精神的な面で男子とやるのは難しいと感じる女子選手も多いですが、『大学は女子でもやりやすい環境がある』ということを知ってもらえれたらいろんな選択肢が広がりますよね。

島田選手:そうですね。
女子野球部がない大学でも、高校より入りやすいということもあると思います。

── 他の部員たちもある程度女性のことを理解してくれていますよね。

島田選手:はい。理解してくれているというか、人生経験の差なのかなと思います。

── 野球やっている女子高校生とかに届けたいですよね。

島田選手:そうですね。
「女子野球部がないから野球をやめる」とはなって欲しくないですね。

── 静岡大準硬式の環境はどうですか?

島田選手:みんな暖かくて優しいです。
女子が全力で野球をやれるという環境は少ないので、野球をやらせてもらえる、受け入れてもらえたという状況に感謝しています。
今のチームメイトも大好きなので、選手として登録してもらっているからにはプレーで返したいと思っています。
準硬式はあまりメジャーではないですが、選択肢の一つとして認知されていけばいいですね。

── 最後に、女子野球に対する思いを教えてください。

島田選手:野球をやりたいと思う女の子が困らない世の中になればいいなと思ってます。
環境がないから諦めるということになって欲しくないです。
少年野球には女子も多いですが、環境がなくて諦めた、ソフトに転向したという話はよく聴くので、
男女関係なくやりたい人がやれる環境が増えて欲しいです。
私自身がさこさんがいたから中学で野球をやった様に、女子選手がいた前例があったから入ろうと思う子もいるはずです。
実際に、私が中学で野球やっているのを知って、野球部に入りましたと言われたことがあって、それは嬉しかったし、私が前例として他の選手たちが野球を続けるきっかけとかそういう存在になれればいいなと思ってます。

私と一緒にプレーしている男子選手たちも今までは、女子野球のことを考えることもなかったと思うのですが、私がいたことによって少しでも興味を持って、調べたり、誰かと話をしたりしてくれればいいなと思ってます。
それが私が男子野球部の中で活動しながら女子野球界に貢献できることだと考えています。

現在静岡大学の準硬式野球部では副キャプテンを務める島田選手
キャプテンから指名を受けて副キャプテンを務めることになったそうですが、みんなに認められるくらいの相当な努力をしてきたと思います。

男子と女子ではどうしても体格や体力の差があり、多くの競技では男女分けて行われています。

しかし、女子野球はまだまだ発展途上のため、全ての選手が女子野球部や女子野球チームでプレーできるチャンスがあるわけではありません。

途中で野球を諦めてしまう女子選手も多いですが、島田選手が「前例として他の選手たちが野球を続けるきっかけになりたい」といっていたように、この記事からたくさんの人に希望を与えられると思います。

「文武両道」で、信念を持って野球人生を全うしている島田選手。
カッコ良すぎる彼女のことをこれからも応援していきます。

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