“日本一スタイルのいい野球女子” 椿梨央の熱い想い 「一度女子野球を観戦してみませんか!?」
“日本一スタイルのいい野球女子”こと椿梨央さんを皆さんはご存知ですか?
モデルやタレントとしても活躍し、草野球チーム「天晴」の一員としても有名な椿さんですが、中学生時代から女子軟式野球の強豪チーム「苫小牧ガイラルディア」で活動し、3番ショートとして全国大会優勝に導いた経験もあります。
そんな椿さんの「野球選手」としての魅力を追求していきます。
【椿梨央(つばきりお)】1996年5月25日生まれ。北海道苫小牧市出身。
小学4年生で野球を始め、中学生になると野球部の活動と両立しながら地元の女子軟式野球チーム「苫小牧ガイラルディア」に入団。苫小牧西高校進学後も部活とクラブチームの二刀流での活動を続け、2017年には3番ショートとして全国女子軟式野球選抜交流碧南大会の優勝に貢献。現在はモデル・タレントとして活躍する傍で、草野球チーム「天晴」の一員としてプレーしています。
女子硬式野球部が全国に増えている中、高校野球で男子硬式野球部に所属している女子部員も多く、毎年ニュースになっています。本来、高校生のスポーツは男女で別れていることが一般的ですが、女子野球部は全国におよそ40校と男子の100分の1程度しかなく、大会に出場することができないと分かった上で男子野球部を選択している女子選手も少なくはありません。男子と同じ環境で練習・練習試合を行い、共に甲子園を目指しているのに大会に出場することができない女子選手たちの思いや覚悟、男子野球部を選択した経緯などについてインタビューしていきます。
「現在までの野球経験や苫小牧ガイラルディアでの全国優勝について」
「椿さんが考える女子“軟式”野球の魅力とは?」
「女子野球普及に対する椿さんの思いや考え」
モデルやタレントとしても活躍する椿さんに女子野球への思いを中心にたくさん答えていただきました。
女子野球経験者で、プライベートで試合観戦をするなどファンとしての視点も持つ椿梨央さんにの貴重な意見を皆さんにお届けします!!
平日は部活、土日は女子野球 ハードな練習をこなした学生野球生活
── 今日はよろしくお願いします。
椿さん:こちらこそよろしくお願いします。
── まず初めに、椿さんの野球歴を教えてください。
椿さん:野球を始めたのは小学校4年生の時です。
中学生から地元の女子軟式クラブチームの苫小牧ガイラルディアでプレーしながら、
中学校では軟式野球部、高校では硬式野球部で男子と共に練習していました。
土日は苫小牧ガイラルディアで活動し、
平日は学校の部活で練習というスケジュールでした。
現在は「トクサンTV」「クニヨシTV」でもお馴染みの
草野球チーム天晴で選手としてプレーしています。
── 女子軟式野球と高校野球はどのように両立していましたか?
椿さん:基本、土日は女子野球の活動に参加して、平日の練習は全て男子と一緒にやっていました。
練習試合もたまに出場することはありました。
高校の大会の時だけはマネージャーとして選手をサポートしていました。
普段は選手なので、マネージャーの仕事はわからなかったですが、
選手に声をかけたり、マッサージをしたりという裏方の役に徹していました。
普段は選手として一緒に練習もしていたので、
小中高ずっと女としては見られていなかったと思います。
そのほうが気楽でしたけどね。
── 男子と共に活動していた女子選手に話を聞くとみなさんそうおっしゃられます。
椿さん:そうですね。
小中高とチームメイトに恵まれていたと思います。
変に特別扱いされたり、気を使われたりということはなかったので。
── 高校の野球部に入部するにあたって周りからの反対はありませんでしたか?
椿さん:全部実力でねじ伏せていました(笑)
監督もすんなりOKしてくれたし、周りのチームメイトに何も言われることはなかったです。
根性の面でも周りに負けていない自信があったので、
そういった部分で認められていたのだと思います。
── 高校野球生活で辛かったことや辞めたいと思ったことはありましたか?
椿さん:ランニングや筋トレの時は苦しい思いをしたこともありました。
中学までは体力的についていけていて、技術の面では男子を上回っていました(笑)
私の場合は高校生の時から男子との体力差を感じるようになりました。
ランニングも筋トレも私だけ遅れてしまっていました。
でも、チームメイトも理解してくれる人たちだったので、
ランニング10周で私が2周遅れていれば、終わっているのに一緒に走ってくれていたりしました。
── そこまで理解のあるチームはなかなかないですよね。
椿さん:チームメイトには本当に恵まれていたと思います。
ただ、私も負けず嫌いなので、数だけはしっかりこなしていました。
いくら遅れても与えられたノルマは終わらせてから次のメニューに進むという様にしていました。
そういうところをチームメイトは見ていてくれたので、暖かく接してくれていたのだと思います。
そういった意味では苦しかった思い出はそんなにないです。
全部楽しかったです。
椿梨央さんが考える女子軟式野球の魅力
── 椿さんが所属していた苫小牧ガイラルディアについて教えてください。
椿さん:当時の在籍人数は30人くらいでした。
女子軟式野球のチームは北海道で7つくらいありましたが、
苫小牧が強いので、札幌や他の地域からも集まっていました。
札幌と苫小牧だと1時間以上かかる距離ですが、
全国レベルで名前が知られているくらい強いチームだったので入りたいという人は多かったです。
中学生から50代のお母さん世代まで幅広い世代が活躍していました。
お母さん世代は私たちよりもフィジカルが強かったので結構打っていました。
── 幅広い世代が活躍していることも女子軟式野球の魅力だと。
椿さん:そうですね。
女子硬式野球と比べると軟式は敷居がそんなに高くないので、
広い世代の人たちが活躍しやすいというのも魅力の一つだと思います。
趣味として、でも本気でやりたい人が集まる。
幅広い世代の人たちが集まることで、いろんな話も聞くことができるし、
礼儀作法もそこで学ぶことができました。
── 苫小牧ガイラルディアで全国大会優勝を成し遂げたんですよね?
椿さん:2017年の春に行われた全国大会で3番ショートとして出場し、優勝しました。
女子軟式野球も甲子園の様に春・夏2回の大会があり、
春は北海道からは1チームしか出ることができなくて、
全国でも8チームしか出場できない大会です。
夏だと北海道は3位まで出場できたり、
出場チーム数は多いのですが、
春は本当にレベルの高いチームが集まっていた印象です。
── ソフトボールをやろうと考えたことはありましたか?
椿さん:高校に入る時にソフトボール部の人たちに
「一緒に国体を目指そう」と誘われたこともありましたが、
今まで野球を続けてきたのでどうしても野球がやりたいですと断りました。
椿さん:苫小牧ガイラルディアではソフトボールの大会にも
出たことが何度かありましたが、全くの別競技だと感じました。
比較するものではないというか、お互い比較されたくないと思っているのではないでしょうか。
もちろんソフトボールも楽しかったですけどね。
椿さん:ただ、ソフトボールの動画とかはよく見ます。
ソフトボールの人たちってすごい上手じゃないですか。
スピード感も違うので、すごいなと思いながら拝見しています。
── 女子硬式野球をやろうと考えたことはありましたか?
椿さん:もちろんありました。
でも北海道だと札幌に1チームしかなかったので、苫小牧からだと通えませんでした。
もしも周りに環境があればやってたかもしれません。
現在は駒大苫小牧高校に女子野球部がありますが、
私の時代にあれば行ってたと思います。
「マーくんがいた高校」ということも魅力的ですし、環境や設備はすごく整っているので。
環境があれば硬式野球をやりたいと思っている女の子は多いと思うので、
次世代に向けて何か応援できればと思っています。
── その後、東京へ
椿さん:苫小牧ガイラルディアでは北海道の大会も全部優勝していて、
全国大会でも優勝することができたので、もういいかなと。
やり切ったという思いで、女子野球には一度ピリオドを打とう、
私のやりたかったモデル業・タレント業をやろうと思い、海を渡りました。
女子野球普及へ向けての思い
── 天晴にはどのような経緯で入団することになったのですか?
椿さん:天晴に所属しているYouTuberのトクサンに直接DMをしました。
「全国で優勝した経験もあるのですが、動画に出させてもらえませんか?」と。
「是非出てください」という返信をいただき、
トクサンTVに出演、さらにクニヨシTVにも出ました。
東京に来てからは野球を全然やっていませんしたが、
「一度天晴を見に来なよ」と誘っていただき、見学に行きました。
普通だったら私服で見るだけみたいな感じだと思うのですが、
私は練習に混ざりたかったので、練習着をきてアップにも混ざっていました。
そうしたら「やる気すごいな」と認めていただき、入部という形になりました。
私自身は女子野球普及活動のためにも野球を続けていたかったですし、
天晴としても女子選手がいるということを発信していけるということで入らせてもらいました。
もし普通の格好で行ってたら入ることもなかったかもしれませんよね。
一つ一つの行動が繋がっているなと。
なかなか天晴に入ることはできないらしいので…
椿さん:天晴の力もお借りして、
女子野球経験者である私の力で女子野球を広めていけたらなと思っています。
── 今年の女子高校野球が甲子園で開催されることも追い風になりそうですね。
椿さん:そうですね。
夢舞台でプレーできるということは幸せだと思います。
私も天晴の全国大会で甲子園でプレーしたことがあります。
高校の時から、高校球児として夢見ていた場所なので、
違った形ですが甲子園の土を踏めたことは感動でした。
「ここに来れてすごい幸せ」と思えました。
なので、誰でも頑張れば、諦めなければ甲子園にいけるとその時には思いましたね。
── 女子軟式野球を経験してきた椿さんは軟式と硬式、
それぞれどの様に広まれば良いと考えていますか?
椿さん:どちらが良いということはないですが、
硬式は西武や阪神がチームを持ったことで話題性があり、
そこにフォーカスやスポットライトが当たれば、自然と軟式も盛り上がると思います。
軟式は敷居が高くないので、
趣味がてらという感覚でやる人が増えればいいと思います。
ただ、そうではなくレベルの高いところでやりたいと
思う人たちは硬式の強いところでやればいいなと思ってます。
その人たちが求めるものは違うと思うので、どちらも盛り上がっていけばいいなと思います。
── 今後の女子野球普及に向けて、椿さんの影響力も大きいと思います。
椿さん:そうですかね(笑)
ただ、私のところに「将来こういうところ目指しているのですが、
どういうところで野球をしていったらいいですか?」という話が来ることがあります。
私自身がチーム関係者と人脈があるわけではないですが、
マドンナジャパンの出口選手や里選手、
阪神のみなみ選手とは知り合いなので、
そういった方達にお話を聞いて、
アドバイスをしたりという窓口的な役割をすることもたまにあります。
「椿さんを見て娘が野球をやりたいと言っています」
というDMをいただくこともあったので、少しでも影響があれば嬉しいなと思います。
── 野球関連のお仕事も多いんですか?
椿さん:そうですね…徐々に増えてきています。
1518!という野球漫画原作の舞台でアンダースローの生徒会長役を演じました。
それまでは演技経験なかったのですが、野球女子ということからお話をいただき、
オーディションに参加しました。
野球をきっかけに仕事も拡がっていきました。
椿さん:野球経験者として中途半端なアンダースローは見せられないので、そのために練習しました。
元プロ野球選手の塚本浩二選手にも教わって挑みました。
この役は私にしかできないなと思ってます。
── 女子野球普及に向けてどの様な活動が必要だと考えていますか?
椿さん:女子野球は発信力の部分がもう少しあればいいなとは思います。
私個人では女子軟式野球連盟に問い合わせをして、
毎年東京で行われる軟式の全国大会をYouTube撮影をしていいですかと聞いたところ、
連盟の会長さんから「発信していただけるなら是非」と言ってもらえたので、
自身のYouTubeで発信しようとしていました。
その時はコロナ・五輪の関係で開催ができなかったのですが、次回はやりたいと思っています。
お兄ちゃんがドローンの先生なので、そういうところも活用していこうと考えています。
── 女子野球を経験してきた当事者としてどの様な情報が欲しいですか?
椿さん:女子野球の情報は本当に少ないので、試合のオーダーとかは知りたいなと思います。
あとは今日のベストプレーとかが映像で見ることができれば、
「こんなに頑張っているんだ」
「こんなプレーができるんだ」
「こんなに力強いんだ」
ということが伝わると思います。
ただ女子野球の大会をやっていると言ってもライト層には届かないのかなと思います。
興味を持ってくれる人は増やすには実際の映像が必要なのかなと思います。
全部は無理だとしても、今日のベストプレーとか、
MVPのインタビューみたいな生の声が聞けたらいいなと思います。
椿さん:私自身もキャスターとかリポーターのお仕事ができたらいいなとは思います。
聞きたいことや掘り下げていきたいことははたくさんあるので、
そういう場があったらいいなとは考えています。
試合終わりに突撃インタビューみたいなことができたら面白いなとも思います。
選手たちも
「広めてくれるならありがたい」
「今日活躍したから取り上げて欲しい」
と思う人も多いとは思います。
私自身もそういうタイプなので。
── 最後に伝えたいことはありますか?
椿さん:女子野球を見に一回足を運んでください!!ということです。
女性も男性と同じで一生懸命やっています。
一般的にスピードがない、パワーがないと言われることも多いですが、そんなことはありません。
一度も見にきたことがないのにそのように言っている人も多いと思うのでとにかく足を運んで欲しいです。
── 小中学生の女子選手に向けて一言お願いします。
椿さん:どこかで壁に当たることはあると思います。
また、今男の子と一緒にやっている子たちであれば、
体力や筋力で差を感じてきて野球続けようか迷っている子達もいると思います。
しかし、女子でも技術や柔軟性は頑張れば男性を上回ることもできるので、
やり続けて欲しいと思います。
その先に、女子野球という新しい環境があったり、
一緒に楽しく野球をやっていければいいなと思います。
壁に当たることはあるとは思いますが、自分の好きなことはやり続けて欲しいなと思います。
モデルやタレントとしても活躍し、“野球女子”としての知名度や発信力を持つ椿梨央さんは女子野球の経験者として、今後の普及・発展に向けた熱い思いを持っていました。
現在も女子野球に関するアドバイスを求められることもあるということですが、椿さんの野球に対する思いや姿勢、格好良くて美しいプレー姿が多くの人に伝われば「椿さんに憧れて野球を始めました!」という女子選手が増えてくるのではないでしょうか。
椿さんの思いを少しでも多くの人に届けるという形で椿さんの女子野球普及活動を応援していきたいと思います!