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「女子野球界にムーブメントを」現役女性アスリートの高校男子野球部でプレイした3年間と、女子野球にかける熱い想い

「女子硬式野球部の選手」ではなく男子部員と共にプレーすることを選んだ「硬式野球部の女子選手」の存在を皆さんは知っていますか?

激流に自ら飛び込んだ彼女たちの野球人生は魅力でいっぱい!

そんな魅力溢れる彼女たちを読者の皆さんに届けたい!

今回登場していただくのは、岡田桃香さん。

【岡田桃香(おかだももか)】2000年3月29日生まれ。茨城県出身。少年野球のコーチを務めていた父や同チームに選手として所属していた兄の影響で7歳から野球を始めた岡田さんは、つくば国際大学東風(はるかぜ)高等学校に進学後男子硬式野球部に入部。卒業後は女子プロ野球の育成チーム・レイアに2年間所属し、現在は女子社会人野球チームGOOD・JOB女子硬式野球部の主将を務めています。

女子硬式野球部が全国に増えている中、高校野球で男子硬式野球部に所属している女子部員も多く、毎年ニュースになっています。

本来、高校生のスポーツは男女で別れていることが一般的ですが、女子野球部は全国におよそ40校と男子の100分の1程度しかなく、大会に出場することができないと分かった上で男子野球部を選択している女子選手も少なくはありません。

男子と同じ環境で練習・練習試合を行い、共に甲子園を目指しているのに大会に出場することができない女子選手たちの思いや覚悟、男子野球部を選択した経緯などについてインタビューしていきます。

なぜ男子野球部に入ったの?

高校野球生活での苦労や思い出

女子野球普及活動

はじめの一歩は意外にもあっさり

── 岡田さんは高校時代、男子硬式野球部に所属されていたんですよね?

岡田選手:はい!つくば国際大学東風高校の野球部で3年間選手としてプレーしました!

── 高校時代男子野球部に所属していたと聞くと、女子マネージャーだと思う人も多そうですよね。

岡田選手:そうですね。
私も最初は男子硬式野球部のマネージャーになって、甲子園にいきたかったんです。

それが小学生の頃からの夢でした。

というのも、小2の頃から野球をやっていますが野球は男子のスポーツっていう意識がずっとあって、高校では女子は野球を続けられないので、マネージャーになって甲子園にいきたいって思っていたんですよね。

父・兄と同じ少年野球チームでプレーする岡田選手

── マネージャー志望からプレイヤー志望に変わるきっかけは覚えていますか?

岡田選手:中学三年生の時に高校見学会みたいなのがあると思うんですけど、そこでいきたい高校の野球部で体験入部を申し込んだら、女子は危ないからダメですと断られてしまって。

どうしようもないので陸上部で体験を申し込んでこっそりそこから野球部をみていました。 

そしたら自分がグランドの外から野球部をみているのがすごく嫌というか悲しくなって、プレーヤーとして野球に携われないのってこんなに辛いんだって感じると同時に、私は野球をプレーしたいんだという気持ちに気づき、その高校を受けることをやめました。

── プレイヤーとしての野球部入部が高校選びの基準に変わったんですね。

岡田選手:そうですね。
ちょうどその時に兄の高校の野球部の監督さんとお話をする機会があって、自分の気持ちを聞いてもらったら、ぜひ東風でやっていいよって言ってもらったので、東風高校を受験することをを決めました。

── プレイヤーとしてなら女子野球部のある高校も選択肢に入ると思うのですが

岡田選手:それは甲子園の存在が大きかったです。
中学三年生の時に花咲徳栄高校のことを知って、女子野球部があるんだっていうのを知ったんですけど、どうしても甲子園を目指したくて、その時は「女子野球部あるんだ〜。へ〜。」くらいにしか女子野球のことを知らなかったので、考えてはなかったです。笑

男子野球部に入部した岡田選手

── 男子野球部に入部することについて周りからの反応はどうでしたか?

岡田選手:前例を知らない人が多かったので、反対の声は多かったのかなって思います。

高校野球がきついっていうのはみんな知っていることですし、ましてや男子の中で女子が1人でってなると最後まで続かないとか、そういうのは思われていたんじゃないですかね。

先生にも、私を心配してのことだと思うんですけど、「やめてチャラチャラしてたらただじゃおかないからな」って言われました。

── 結果的には最後まで続けることになりましたね。

岡田選手:はい。その先生の言葉が私に火を付けて、絶対3年間やってやるって心の中で燃えてました(笑)

ついに始まる高校球児としての高校3年間

── これまでは高校までの経緯についてお話を伺いました。
ここから、高校球児としての岡田桃香についてのお話をお聞かせいただけますか。

岡田選手:なんでも聞いてください!

── 入部にあたって不安はありましたか?

岡田選手:正直、ありました。みんなに受け入れてもらえるのかなとか、それは野球部だけじゃなくて学校の他の生徒にも受け入れてもらえるのかなっていう不安がありました。

でも実際にやってみたら、先輩達も同級生も野球部の一員として受け入れてくれたので、すぐに不安はなくなりました。

── 周りの環境にも恵まれていたんですね。

岡田選手:兄が在籍していたっていうのと、あと同じ中学校の野球部だった子が2人いたので、それは結構大きかったですね。

── 女子1人で大変だったことはありますか?

岡田選手:遠征行った時に、男子はバスの近くとかで着替えられるんですけど、私はトイレに行って着替えないといけなかったので、猛スピードで着替えないとみんなを待たせることになるのでそこは大変でした。おかげで早着替えが得意になりました。

── やめたいなと思ったことはありましたか?

岡田選手:それに関しては一回もないです。
怪我が長引いた時とか、体調を崩した時とかにはただでさえみんなよりも劣っているのに何しているんだろう。とすごくネガティブになったことはありますけど、やめたいと思ったことは一回もないです。

── 自分で自分を律し続けることが出来ていたんですね。

岡田選手:きつい練習?来るならこいよ!みたいな(笑)

── 男気が溢れてますね

岡田選手:ただ食トレだけは…。もちろんランニングや筋トレもキツかったですけど、いつか終わりが来るじゃないですか。

食トレは食べきれないと練習に参加できないですし、男子のスピードが早すぎて本当にしんどかったです。

味わって食べるとかのレベルじゃなくて、とにかく流し込んでました。
それでもチームで一番遅かったですけどね(笑)

── 高校野球の1番の思い出を挙げるとすると、何になるでしょうか?

岡田選手:たくさんあるんですけど、一番思い出に残っているのは最後の夏の大会の開会式でユニフォームを着て入場行進できたことです。
私が2年生の時に規定が変わって、背番号をもらえなかった3年生と女子部員が入場行進に参加できるようになりました。

それ聞いた時はすごくうれしかったです。

私の一学年上で違う高校に女子の先輩がいたんですけど、その先輩が歩いている姿を見てすごく感動しました。

もう本当に格好良かったです!!!!

私も来年みんなと歩けるんだって思ったらもう嬉しさでいっぱいでした!!!

入場行進に参加する岡田選手(写真最後方)

── 青春ドラマみたいですね

岡田選手:でもまだまだ女子部員が選手として認められていないと感じますね。

── と言うと?

岡田選手:2年生の夏の大会が終わった後、秋の大会の前に行われる県南選抜大会という大会がありました。
秋の大会のシードを決める大会ですが、背番号を付けなくていい大会なので私もベンチにはスコアラーという形でユニフォームを着て入っていました。

背番号なしだし、シートノックなら入っても大丈夫だろうってことになってショートに入ったんです。
そしたら、ボール回しとノック一本受けところで本部から手招きされて、「女子はダメです」と言われ、強制退場みたいになってしまいました。

何も言わずに入ったのは悪かったと思うんですけど、事前にお願いしてたとしても入れなかったと思います。
その時は、「あ、まだ危ないって思われているんだろうな」って思いました。

── なるほど。実際のところ当事者としての意見はどうですか?

岡田選手:女子選手だから危ないと感じたことはほとんどないです。
もちろんデッドボールは痛かったですけど、それは男子も一緒だと思います。

パワーやスピードは劣るかもしれないですが、大怪我をしたこともなく普通にプレーできていました。

── 練習や練習試合は他の男子部員と同じように参加していたのですか?

岡田選手:はい、一緒にプレーしてました。
練習試合は普通に出させてもらっていて、公式戦は全部ダメっていうのは、どうにかならないのかなと思いますね。

実際に男子と共にプレーする岡田選手

「私だけじゃない」という気づきから芽生えた「普及」への思い

岡田さんは高校卒業後、女子野球の世界へ足を踏み入れました。最初の2年間は女子プロ野球の育成球団・レイアに所属し、現在は社会人チームのGOOD・JOB女子硬式野球部主将として2年目のシーズンを迎えています。男女双方の野球を経験している岡田さんに違いを聞いてみました。

── 男子と女子で感じた違いなどはありますか?

岡田選手:女子の方が、良い意味で人間関係の距離が近いなと思いました。

高卒で女子プロ野球に行って、初めて女子野球の世界に入ったのですが、最初の頃はそのギャップでうまく溶け込めなくて悩んだことはありました。

人間関係も、寮が初めてと言うのもありましたが、どこまで踏み込んでいいのか分からなくて悩んでいた時もありました。

今は女子野球に入って4年目になるので、そういった悩みはほとんどなくなりました。

慣れってすごいなと思いましたね。

── なるほど。

岡田選手:あと、興行的にはまだまだ男子には及ばないなと感じます。
NPBってみんなの憧れだし、ファンも多い。

一方で女子野球はまだ認知されていない状況です。

前まではプレーヤーとして他の女子選手たちに夢や希望を与えたい思っていましたが、個人での活動にはやはり限界があるなと。

そこで女子野球に携わる皆さんの力も借りて、一緒に女子野球の普及に貢献していきたいなと思っています!

もちろんプレイヤーとしても人一倍練習して、私を見て「野球をしたい・続けたい!」と思ってもらえるようになるのが、今後の目標です!

── 熱い思いが伝わってきます!

岡田選手:この思いを一人ひとりに伝えたいんですけど、それは現実味がないのでメディアの力を使わせてもらおうと。

── 岡田さんの熱い思いは必ず伝わると思います!
それでは最後に、男子硬式野球部に所属してる女子部員に一言お願いします!

岡田選手:男子の中に1人だけ女子と言うのはすごく注目を浴びることだと思います。
ですが、目的を見失わずにやり続けていれば、いつか良いことがやってくると思います。

大変なことがほとんどですが、私は男子硬式野球部に入って、周りの人が経験することができないことを経験することができました。

なので、いつか報われる時が来ると言うことを信じて、前をむいて頑張って欲しいです!

── 本日はありがとうございました!

岡田選手:こちらこそありがとうございました!

 昨年は創部1年目のチームをキャプテンとして牽引し、全国3位という成績を収めています。現在21歳と本人もチームも今後の成長が大きく見込まれる状況なので、今後の岡田桃香の起こすムーブメントには注目していきたいと思います。 

 高校野球では女子が男子の大会へ出場することは未だ認められず、世間や周囲からも認められていないことも多いですが、女子高校野球の甲子園開催が決定されるなど、女子野球選手には確実に追い風が吹いています。岡田選手の言う通り、『いつか報われることを信じて』普及活動を行っていきたいと思います。

有言実行即実行

みんなに女子野球の魅力を伝える活動をしたい!

そんな思いから始めたYouTubeチャンネル「グッジョブTV

インタビュー後に感じた「岡田桃香ならきっと何かやってくれる」という思いの通り、女子野球・女子野球選手の魅力が存分に詰まったチャンネルでした。

皆さんものぞいてみてはいかがでしょうか。

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