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「世界に向けて野球普及活動Vol.2」現役選手として活躍しながら日本とオーストラリアの架け橋を目指す石川優希の挑戦

皆さんは女子野球が世界でどのくらい盛んに行われているかご存知ですか?

あまり知られていませんが女子野球にもワールドカップがあり、日本代表は大会6連覇を達成するなど圧倒的な強さを誇っています。日本は世界の女子野球界を牽引しており、海外に進出してプレーをしながら普及活動に貢献している日本の女子選手も多いです

今回インタビューにご協力いただいたのは石川優希さんです。

【石川優希(いしかわゆうき)】1995年12月2日生まれ。栃木県出身。
高校卒業後、東京女子短大時代には女子野球の名門クラブチーム『侍』で2年間プレー。その後は平成国際大学に編入し、女子硬式野球部で野球漬けの日々を送る。現在は短大・大学時代に交流のあったオーストラリアに渡航し、パーソナルトレーナーの勉強をしながら現役で野球を続けています。

石川さんは海外でプレーヤーとして今現在も活躍していることを知り、その行動力の凄さに圧倒されました。

オーストラリアで活躍する彼女の現状や、どんな思いでプレーしているのかといったところにとても興味が沸きました。

「世界に向けての野球普及活動」Vol.2はオーストラリア編ということで、

『オーストラリアの野球と日本の野球の違いは?』

『渡豪のきっかけやこれからやりたいことは?』

『今後オーストラリアの女子野球はどうなりそう?』といったことを聞いてみました!

今回のインタビューで、石川さんのオーストラリアにかける熱い思いが伝わってきました。

皆さんぜひ最後まで読んでいってください!

マドンナジャパン監督も渡航経験があるオーストラリアの女子野球事情は

── 石川さんは現在オーストラリアで野球をやっているんですよね?

石川選手:はい。西オーストラリア州のパースで女子クラブチームに入っています。

──  中島さん(マドンナジャパン監督)もオーストラリアで野球をやっていましたよね?

石川選手:やってました。中島さんって前回のワールドカップでオーストラリア代表のコーチとかやってましたよね?シモンさんというオーストラリア女子野球界の大御所みたいな方とも繋がりがあって、最近でもオーストラリアにきて野球を教えたり、一緒にやったりということをしています。

中島さんはオーストラリアの女子野球界では有名で、「りさ!りさ!」という感じで言われてます。

── オーストラリアでは女子野球は盛んですか?

石川選手:そうですね。私もこっちに来てびっくりしました。メルボルンとかシドニーはレベルが高くてチームも多いです。そこと比べるとパースは全然ですが、やってる人は結構います。

── オーストラリアの女子野球はアマチュアだけですか?

石川選手:現状はアマチュアだけですね。コロナ騒動の前には日本の女子プロ野球のようなものを作ろうという動きはあったので、騒動が収まったら女子プロ野球リーグができるかもしれないです。

── 代表チームも強いですし、レベルは高いですよね。

石川選手:各州に上手な選手がいるので、それが集まる代表チームも強いですね。

── 日本とオーストラリアの野球を比べてどうですか?

石川選手:なんだろうな〜…こっちでやる中で一番感じるのはみんな心の底から野球を楽しんでいるということです。
試合にも勝ちたい、ヒットも打ちたい、いい守備したい、投手なら三振を取りたいと思っているのはどこの国でも一緒だと思うんですけど、オーストラリアでは、ミスを重く受け止めすぎない様に感じます。
大きなミスでも周りが「大丈夫、気にするな」という感じです。日本だともうベンチとかの空気が…。そこがすごく感じるとこですね。

── 自分自身はどういうタイプでしたか?

石川選手:日本時代は大事な場面で打てない、打たれるとなると『やっちまった、もう終わりだ…』となっていました。
そういう雰囲気も出していたと思います。
オーストラリアでは周りが「気にすんなよ、いんだよあんなの」と声をかけてくれるので、日本とは違う感じで野球ができます。みんなヒット一本ですごい喜んでくれるのもいいですね。

精神的には楽ですね。日本のガチガチの雰囲気ではもうできないです。

日本で開催された女子野球ワールドカップをきっかけに徐々に海外志向へ

── オーストラリアとはいつ頃から接点があったのですか?

石川選手:短大1年生の時に宮崎で開催されたワールドカップの時に日本に来ていたオーストラリアのジュニアチームに帯同したことが最初の接点です。
当時所属していた侍に「その人たちのお世話をお願いできませんか?」という話があったので立候補しました。
その時に初めてオーストラリアにも女子野球があることを知りました。
その時はホテルも一緒でずっと行動を共にしていました。
英語は全く喋れなかったですが、ボディランゲージでコミュニケーションをとってました。

── その経験がオーストラリアに行こうと思ったきっかけ?

石川選手:最初のきっかけはそうですね。
平国(大学)3年の時にもオーストラリアのフレンドシップトーナメントに参加しています。
侍の先輩で毎年参加している人がいて、「一緒に行こう」と誘われたので行きました。

そこでさらにオーストラリアの方との交流があって、『なんか海外で野球やるの楽しいな』と思うようになりました。

── 卒業後はすぐにオーストラリアに?

石川選手:はい。その時は日本にいてやりたいということもなかったので、まずは短期間だけでもと思いワーキングホリデイを活用して行きました。

── それが楽しくてずっと?

石川選手:そうですね。ずっと続いてます。

── 学生だからこそできた経験でもあるよね?

石川選手:そうですね。野球漬けだったので勉強は全然してないんですけどね。

── 野球漬けの中ではどの様な経験ができましたか?

石川選手:野球を通していろいろ経験できました。
いろんなところにも行くことができて、野球を通していろんな人と繋がることができました。

野球という共通点でオーストラリアの人とも繋がれたし、カナダやアメリカ、香港にも行くことができました。

まさか女子野球でこんなにもいろんな人と繋がれるとは思っていなかったので、それが一番の経験だと思います。

野球選手として更なる成長のためにトレーナーの勉強を

── 今はオーストラリアで学校に通っているんですか?

石川選手:はい。去年の1月からパーソナルトレーナーの資格が取れる学校に行ってます。

ACSF(Australian College of Sport Fitness)という学校で、オーストラリアにはサテフィケイトという日本の専門学校のようなものがあります。
サテフィケイトには1から4までのコースがあり、私は3と4を受講しています。
2コース合わせて18ヶ月分なので、もう少しで資格は取得できます。

── どうしてパーソナルトレーナーになろうと思ったのですか?

石川選手:自分自身が野球をやっていく中で、トレーナーの勉強をしていれば役にたつかなという軽い気持ちで始めました。
これに関しても特に強い理由はないんですよね。

── 将来的にはトレーナーとして働くことを考えている?

石川選手:この資格があればオーストラリアでトレーナーとして働けるのでそれも考えています。
自分のトレーニングに役立てたいという気持ちが一番なので、先のことはまだまだ未定ですね。

── 野球はまだまだ続けたいですか?

石川選手:やめるつもりはないです!!

── 日本に帰るつもりは?

石川選手:今のところはないですね。オーストラリア一択です。

── 仕事はどんなことをしているのですか?

石川選手:今はジャパニーズレストランで働いています。
刺身・うどん・どんぶりとかを出しているのでがっつり日本食という感じですね。
日本の方も美味しいと言ってくれますし、オージーの方も結構来てくれます。
最初はワーキングホリデーのビザできていたのでビクトリア州の田舎でファームの仕事もやっていました。

大変でしたけど、結果的には楽しかったです。

── 4年も海外にいると英語はペラペラだったりしますか?

石川選手:そんなこともないですよ笑

みんなが期待するペラペラのレベルがわからないですが、最低限の日常会話はできて、専門用語とか入るとちょっとわからなくなります。

── 住んでるところはどんな感じですか?

石川選手:アパートメントみたいなとこに住んでいます。
一緒に住んでたルームメイトが引っ越しちゃったので、ルームメイト募集中です!!
ロケーション抜群ですと書いといてください。笑

現役を続けていく中で女子野球普及に向けて貢献できることとは

── 将来的にはどうなりたいと考えていますか?

石川選手:ん〜…特にこうなりたいというのはあまりないです。
でも、私自身がプレイヤーとして続けるということが一番です。

指導者の立場もいいなとは思うのですが、オーストラリアでは言葉の壁もあり、戦術とかの高度なことを教えるのは難しいです。言葉がそこまで追いついていないです。

── 仮に、選手を引退した後のことを考えるとしたら?

石川選手:自分のできる範囲でどこかのチームのサポートをするなど、なんらかの形で女子野球に関わりたいです。例えば、日本からオーストラリアに来て野球やりたいという人の手伝いとかができたらいいなとは思っています。

実際、履正社の橘田さん(履正社女子硬式野球部監督)から連絡がくることがあって、「履正社の子がオーストラリアで野球をやりたいと言ってるんだけど、どこがいいと思う?」などとアドバイスを求められることもあります。「パースは今こんな感じですよ。」とか私が経験したことしか話せないですが、そういう意見が少しでも誰かの役に立てばいいなと考えています。

── オーストラリアの女子野球は今後どうなりそうですか?

石川選手:オーストラリアは野球そのものがまだまだマイナーだとは思います。
各州で『女子野球をみんなで拡めよう!!』と頑張っているので、いつか女子プロ野球もできるんじゃないかと思っています。
まだ女子野球が普及しているとは言えないですが、もうちょっとで今の状況から一歩踏み出せるんじゃないかなと思ってます。

── 女子野球を普及・発展させたいという思いはありますか?

石川選手:もちろんあります。女子野球を一つのスポーツとして、サッカー、テニス、バスケのようになって欲しいです。

一スポーツとして認められたいです。そのための行動が現状ではできていないんですけど、自分がプレーする中でちょっとずついろんな人に見てもらえたらなと思います。

できることなら、自分が日本とオーストラリアの架け橋になり、交流を深めることができれば、お互いの野球を知れるし、友達も増えるしみたいな。

ほんとにみんなにはオーストラリアに来て欲しいです。

オーストラリアに来る際には石川までご連絡ください!!という感じです笑。

── 本日はありがとうございました。

石川選手:こちらこそありがとうございました。

オーストラリアという地で生き生きと活動している石川さんの様子が伝わってきました。

そんな彼女の話を聞いていると、私も新しいことに挑戦してみたいという気持ちになります。

しかし、どんな人でも新しいことへの挑戦は勇気が必要だと思います。

石川さんのような方が架け橋となってくれることで、その一歩を踏み出すことができる人もいるのではないかと思います。

今後、海外で女子野球を経験したいと考えている選手たちの架け橋に、石川さんがなることをとても楽しみにしています。

石川さんのFacebookはこちら

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