史上初となる東京ドームでの熱戦の裏で、大会運営を支える関東地区大学準硬式野球連盟の学生たち
史上初となる東京ドームの開催で注目を集め、福井工大福井が10回タイブレークを制した高校女子硬式野球選抜大会。その裏で、関東地区大学準硬式野球連盟の学生たちが運営として活躍していました。
準硬式野球と女子野球。一見すると何も関わりがないように思われますが、準硬式野球と女子野球は以前から交流があり、2020年には侍ジャパン女子代表合宿での協力により、全日本女子野球連盟制定の「女子野球アワード2020」では東都大学準硬式野球連盟が国内普及発展功労賞を受賞しています。
裏方として女子野球の発展に貢献! 東京ドーム決勝戦での大会運営
巨人-阪神戦の直後に東京ドームで行われた今回の試合は、プロ野球観戦からそのまま女子野球の試合を観るという方も多く、非常に大規模なイベントでした。そのようなイベントを学生ボランティアとして運営を行った、東洋大学準硬式野球部マネージャーで女子準硬式野球準備委員会の堺澤さん(4年)と堀口さん(2年)に業務内容の紹介と東京ドームでの運営の感想を話していただきました。
── 大会の運営お疲れ様でした。改めて、実際の業務内容を教えてください。
堺澤さん:まず最初に、プロ野球の試合から観戦しているお客さんを対象に、除菌シートと個人情報記入用紙を全員に配布しました。
堀口さん:その後は、お客さんの誘導を主に行っていました。決勝戦では観戦エリアを制限していたので、記者席やVIP席等のエリアを説明して案内します。
堺澤さん:また再入場やトイレの案内を初め、球場内でお客さんが困ったことに対して対応していました。
堀口さん:全ての業務終了後にはグラウンドに降りて記念撮影。東京ドームのグラウンドに立てる機会はめったにないので貴重な経験ができました。
── 実際に東京ドームで皆さんが楽しそうに運営をしているのが伝わって来ました。それでは、今回の大会運営を通しての全体的な感想をお願いします!
堺澤さん:準硬式でも学生主体で大会運営を行っているので、大きく括ると普段と同じことをしていたのですが、準硬式ではお客さんもほとんど入ることはなく、誘導も少しの人数で収まるので比べ物にならないくらいの大きな大会だなと感じました。
堀口さん:私は去年大学に入ってからは部活動の活動時間も人数が制限されていたり、大学の授業も週に1回あるかないかという生活だったので、本当に人との関わりが少なかったです。そのような中で今回のボランティアがあり、短いコミュニケーションでしたが小さいお子さんからご高齢の方まで、『久々にこんな人と触れ合ったな』というのが1番の印象です。
堺澤さん:全然知らない一般のお客さんとの会話やコミュニケーションの中で、普段はできない貴重な経験ができました。初対面の人と話すことは私の中ではハードルの高いことではあったのですが、準硬式での経験値があったので、うまく対応できていたかなとは思います。
── 外から見ていても準硬式の学生さんたちは運営という部分に慣れていて、緊張や不安のようなものは感じませんでした。東京ドームという場所の空気感はどうでしたか?
堺澤さん:私は東京ドームに行くことが初めてだったので圧倒されました。私はプロ野球を見るのも初めてだったので、そこも凄かったなと。
堀口さん:私はジャイアンツのファンなので、東京ドームのグラウンドに降りれたことも裏側に入れたことも『なんで!?』と思うくらいびっくりしました。プロ野球で使っている球場での試合に私たちが関われていることが嬉しかったです。坂本勇人選手のファンなので、ショートのポジションから同じ景色を見てテンションが上がっていました。
「女子準硬式野球の先駆者になりませんか!?」 女子準硬式野球準備委員からのメッセージ
堺澤さんと堀口さんは今年2月に発足した女子準硬式野球準備委員会の一員として、大学準硬式野球で女子選手がプレーできる環境作りを目指しています。そんなお二人に女子野球へ抱いた印象や女子選手へ向けてのメッセージをお話しいただきました。
── お二人は女子野球の試合を観戦したことはありましたか?
堺澤さん・堀口さん:この前の東京ドームでの試合が初めてでした。
── なるほど。実際に試合を見てどのように感じましたか?
堺澤さん:率直に凄いなと。今までは男子の試合しか見ていなかったのですが、男子と比べて劣っているという印象は受けませんでした。凄い良いプレーばかりで観ていて面白く、応援したくなるような野球を見せてもらえたなと思います。女子で野球をやりたいと思う選手が輝ける場を私たちで作っていきたいと改めて強く思いました。
── 確かにこの前の試合は延長までいく好ゲームで、良いプレーも随所に見られましたね。堀口さんはいかがでしたか?
堀口さん:私は元々野球が好きだったのですが、自分では絶対にプレーは出来ないと思っていたので、『女子でもこんなにできるんだ』と圧倒されました。また、選手の皆さんが楽しそうにやっていることが凄く新鮮でした。私は高校時代からマネージャーをやっているのですが、男子だと良いプレーをした後でも恥じらいがあるのか、「ナイス〜!!」と喜び合っていることは少ない印象なので。家のテレビでも試合を録画していたのですが、そこで抜かれている表情も笑顔で『野球が楽しい』ということがよく伝わってきました。
── 選手が笑顔でプレーしていることや楽しそうな雰囲気が外まで伝わってくることは女子野球の魅力の一つでもあると思います。試合を見ていて準硬式野球と女子野球で共通点を感じた部分はありますか?
堀口さん:私は野球を『楽しむ』ということかなと思いました。準硬式は野球を続けたい人が続けられる範囲で楽しくやるということがモットーだと思うので、笑顔の女子野球とかぶる部分があるかなと思います。
── 長く野球をやっていると忘れてしまいがちにはなりますが、『楽しむ』ということは大切ですよね。それでは、女子選手に向けて準硬式野球のアピールポイントを教えてください。
堀口さん:準硬式野球は野球だけにならないように、学業ともアルバイトとも両立できることが良いところだと思っています。
堺澤さん:準硬式では学生が主体で行っているスポーツです。なので私たち運営側も学生に寄り添って、選手が良い環境でプレーできる環境づくりを心掛けています。『学生が考案するからこその野球ができる』ことを準硬式野球としてPRしていきたいです。学生の内にしか出来ない、学生のうちにやっておいたら社会に出て強くなれるような、そんな社会経験も準硬式野球ではできるということを自信を持って言えます。
── 学業や大学生活との両立や社会経験。準硬式の魅力が伝わってきました。最後に、この記事を読んで大学準硬式野球に興味を持った女子選手にメッセージをお願いします!!
堀口さん:女子選手のみなさん、女子準硬式野球の先駆者になりませんか!?これから準硬式野球で女子がプレーする時代を一緒に作っていきましょう!
堺澤さんと堀口さんには、今回の東京ドームでの運営という部分を切り口に、準硬式野球の魅力や女子選手を受け入れることに対する熱い思いをお話しいただきました。堺澤さんも堀口さんも女子野球を見たのは初めてということでしたが、女子選手を応援したいという気持ちは強くなったとのことでした。
今回お二人の話を聞いて、準硬式野球と女子野球どちらの魅力も伝わってきました。準硬式が女子選手を受け入れることによってお互いの魅力が広く伝わっていくことだと思います。