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島田朱諒の静岡フューチャーズ取材体験記

今回は静岡県初となる学童女子野球チーム、“静岡フューチャーズ”の練習に行ってきました。

河川敷の軟式野球場に到着すると、選手たちの元気な声が聞こえてきました。
ウォーミングアップを兼ねたサッカーの真っ最中。6年生チームと5年生以下チームに分かれ、両チームとも一生懸命ボールを追いかけていました。

静岡フューチャーズは小学生の女の子14人が所属する学童野球チームです。
2018年に花村博文監督が立ち上げ、5年目を迎えます。

花村さんは2013年に静岡市草薙球場で開催された女子野球の「ジャパンカップ」を見て衝撃を受けたそうです

「はじめはどんな感じかな、と軽い気持ちで見に行った。すると、守備が上手で、女性特有のやわらかさ、丁寧さ、しなやかさがあった。すごいな、女子野球って。」

それと同時に、ある疑問が浮かんできました。何で静岡に女子野球ってないんだろう…

当時少年野球にも関わっていた花村さんは、誰も女子チームを作らないなら自分が作りたいと思うようになりました。その思いは段々と熱を帯び、実現に至ります。現在も静岡フューチャーズでコーチを務める三浦和幸さんにも相談してチーム作りをしました。

この日の練習はキャッチボール、中継練習、バッティング、ノックというメニューでした。
練習中には静岡フューチャーズならではの工夫もありました。

まず、練習中には絶えず音楽が流れています。楽しい雰囲気で練習したいという思いが伝わってきます。無音での練習よりもテンションが上がりますよね!

さらに驚いたことに、練習の合間には“お菓子タイム”があります!選手は各自好きなお菓子を持参して、自由に食べて良いルールだそうです。唐突に始まるお菓子交換会(笑)私も個包装のチョコレートと飴を選手からいただきました。サービス精神旺盛な選手たちです。

もちろん、お口の中を空っぽにしてからグラウンドに戻ります。

この日は、私が30分間の内野ノックを担当しました。ベンチで和気あいあいとお菓子を食べていたさっきの様子からは想像できないくらい、とても上手にゴロをさばきます。

低学年の子は少し集中が切れてきたかな、と感じたノック中盤のことです。私から、「チームメイトが良いプレーしたら、ナイスショート!とかナイスボール!とか言ってあげよう。」とアドバイス。すると、元気な声がたくさん出て、チームメイトに褒められるのが嬉しいのか動きも良くなった気がしました

私の持論ですが、言われたことは素直にやってみる、褒められると嬉しいというのは女子選手の特徴です。

練習の合間、小学6年生の杉村璃梨選手、竹中彩萌選手、橋本深由選手に卒業後の進路について聞いてみました。

3人とも中学で野球はやらないそうで、バトミントンやテニスをやってみたいと話してくれました。野球をやらない理由は、「中学に女子野球部がないから。」という私としては心苦しい答えでした。

しかし、竹中選手は、「でも、高校は翔洋(東海大学付属静岡翔洋高等学校:2021年女子硬式野球部創部)に行って野球をやりたい。」と続けました。さらに、3人とも野球に関しては「楽しい!」と即答してくれました。

静岡では未だに中学生以上が女子野球をするハードルが高いのが現状です。

実は、中学生以上の女子選手12人が所属する静岡フューチャーズレディースというチームがあります。静岡フューチャーズが始動した3年後の2021年、中学生になっても野球ができるようにと花村さんが設立しました。もし今後、選手たちが高いレベルで野球をするようになって、壁にぶつかることがあっても戻れる場所があるように、セーフティーネットのような役割になればという意味もあります。普段は静岡フューチャーズが午前、静岡フューチャーズレディースが午後というように時間を分けて練習しています。

今回は午前の練習に静岡フューチャーズレディースの田崎喜代子選手(59)も参加。
田崎選手は、「今の若い子たちが羨ましい。小さいころから野球をやりたかったけれども、子供のころは女の子が野球をする環境が無かった。」と話します。

練習中にはこんな珍しい一幕も。
静岡フューチャーズ最年少小野彩也夏選手(7)との、なんと!52歳差キャッチボールです。

パパの野球をやっている姿がかっこよくて野球を始めた小野選手は、「野球楽しい!大きくなったらピッチャーをやってみたい!」と元気に話してくれました。

花村さんが目指すのは、「うまい選手を育てるよりも、野球好きな子を育てる。」指導です。
「野球をやって楽しかった思い出が女の子の中に残れば、いずれ母親になったときに子どもに野球を勧めてくれるかも。男子の野球人口の減少に歯止めがかかると良い。」と野球界の将来を見据えています。

今回は静岡県初の学童女子野球チームを紹介しました。“野球は楽しいもの”という大切なことを子どもたちに伝えている素敵なチームだと感じました。高校の女子硬式野球部が増えていく中で、小学生や中学生、さらに社会人も身近に野球ができる環境も整っていけば良いと思います

私自身も、選手たちと野球を楽しむことができました。これからもどんどん野球好きな子が増えていってほしいですね!

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